川久ミュージアムからブライアン・イーノによる音と光の展覧会まで。今週末に見たい展覧会ベスト4

今週開幕した展覧会のなかから、とくに注目したい4つをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「KAWAKYU ART Exhibition 2022」展の展示風景より、稲垣智子《Mirrors》(2022)

川久ミュージアムで「実在する夢」を体感。「KAWAKYU ART Exhibition 2022」(川久ミュージアム)

 バブル期に南紀白浜に建設された「ホテル川久」に、その歴史価値の保存と伝承を目的として昨年オープンした「川久ミュージアム」。その初となる展覧会「KAWAKYU ART Exhibition 2022」が6月1日より始まった。

展示風景より、しまうちみか《Dog Head》(2022)

 川久ミュージアムは、今年から美術、音楽、建築、文学、デザインなど様々な分野に開かれたアーティスト・イン・レジデンス(AIR)をスタート。第1回レジデンスアーティストとしては、稲垣智子、井上修志、植田陽貴、梅原徹、長嶺慶治郎、宮本華子の6名が選ばれ、5月9日から約3週間をかけて滞在し「実在する夢」をテーマに新作を制作した。その成果展となるのが、今回の「KAWAKYU ART Exhibition 2022」だ。

 同展のほか、19万枚もの金箔で覆われた1階の巨大なロビーの天井や、ロビーに24本も立つ蒼い円形の列柱、オーナーズコレクションとして収集された骨董コレクションなど、館内の空間も注目ポイントだ。川久ミュージアムが持つある種の「魔力」と、現代アーティストの創作が起こす化学反応を堪能してほしい。

会期:2022年6月1日〜30日
会場:川久ミュージアム(ホテル川久)
住所:和歌山県西牟婁郡白浜町3745
電話番号:0739-42-2662 
開館時間:10:30〜18:00 ※入場は閉館の30分前まで
料金:一般 1000円 / 高校・大学生 800円 / 中学生以下無料(学生証の提示が必要)※白浜町民は入場無料

北斎生涯最大の作品を実物大で再現。「Digital×北斎」特別展「大鳳凰図転生物語」(NTTインターコミュニケーション・センター[ICC])

 長野県・小布施町の岩松院本堂大間にある、葛飾北斎の生涯最大規模の作品「鳳凰図」をデジタルデータによって実物大で再現する「Digital×北斎」特別展「大鳳凰図転生物語」が、NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]で開催されている。

展示風景より、岩松院本堂天井絵「鳳凰図」(マスターレプリカ)

 本展では、アルステクネの特許技術「高品位三次元質感画像処理技術DTIP」を用いて再現された実物大の「鳳凰図」や、岩松院の本堂を再現した空間のなかで同作を体感できる3D映像のほか、調査・デジタル化の過程で得られた様々な発見や考察を紹介する動画やパネルなどが展示されている。

 原作を忠実に再現したレプリカや多様な資料を通し、当時北斎と小布施の人々が目指していた世界を知る貴重な機会だ。

会期:2022年6月2日~7月3日
会場:NTTインターコミュニケーション・センター[ICC] ギャラリーA
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階
電話番号:0120-114-677
開館時間:11:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:月〜水
料金:一般・大学生 1500円 / 65歳以上・高校生以下・身体障害者手帳お持ちの方 無料
※ギャラリーEで開催中の「Digital×北斎【破章】北斎vs廣重」展の入場料含み

音と光の空間芸術。「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」(京都中央信用金庫 旧厚生センター)

 イギリス出身のミュージシャン、プロデューサー、アクティビストで、ヴィジュアル・アートに革命をもたらしたブライアン・イーノ。その大規模展覧会「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」が京都中央信用金庫 旧厚生センターで開幕した。

ブライアン・イーノ The Ship

 ジェネレーティヴ・ミュージックの手法を応用して、「ジェネレーティヴ・アート」という革命的な空間芸術をつくり上げてきたイーノ。本展では、世界初公開作品《Face to Face》と、イーノの主要3作品《77 Million Paintings》《The Ship》《Light Boxes》すべてが京都に一堂に会している。

 築90年の歴史ある建物・京都中央信用金庫 旧厚生センターで、絶え間なく変化し続ける音と光がシンクロし合う空間芸術を体験してみてはいかがだろう。

会期:2022年6月3日~8月21日
会場:京都中央信用金庫 旧厚生センター
住所:京都市下京区中居町七条通烏丸西入113
開館時間:11:00~21:00  ※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 2000円 / 大学生・専門学校生 1500円 / 中高生 1000円 / 小学生以下無料

ドイツ・ロマン主義からリヒターらまでが集結。「自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」(国立西洋美術館)

 1年半の休館を経て2022年4月に再開館した国立西洋美術館。リニューアルオープン記念展として、ドイツ・エッセンのフォルクヴァング美術館との協働により、近代の芸術の展開をたどる展覧会「自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」が6月4日よりスタートする。

展示風景より、左からクロード・モネ《舟遊び》(1887)、ゲルハルト・リヒター《雲》(1970)

 本展では、開館から現在に至るまでの両館のコレクションから、印象派とポスト印象派を軸にドイツ・ロマン主義から20世紀絵画までの100点を超える絵画や素描、版画、写真が展示。近代における自然に対する感性と芸術表現の展開を探る。

 産業や社会、科学など多くの分野で急速な近代化が進んだ19〜20世紀にかけて、新たな知識とまなざしをもって自然と向き合い、この豊かな霊感源から多彩な作品を生み出していった画家たちや、ドイツの現代美術の巨匠ゲルハルト・リヒター、北欧作家アクセリ・ガッレン=カッレラらによる多彩な自然をめぐる表現を楽しみたい。

会期:2022年6月4日~9月11日
会場:国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7-7
電話番号:050-5541-8600
開館時間:9:30~17:30(金土~20:00)
休館日:月 (7月18日、8月15日は開館)、7月19日
料金:一般 2000円 / 大学生 1200円 / 高校生 800円 / 中学生以下無料

Exhibition Ranking