人間中心主義や行き過ぎた資本主義によって自然環境だけでなく、社会や精神的環境までもが持続不可能の危機にさらされている現代。この時代において、アーティスト、研究者ら双方の取り組みから、 エコロジカルな芸術実践に光をあてる展覧会が「新しいエコロジーとアート」展(5月28日〜6月26日)だ。
本展は東京藝術大学大学美術館とThe 5th floorの2会場にまたがって展示構成されるもので、藝大・長谷川祐子教授の退任記念展として位置づけられる。
アーティスティックディレクターを長谷川が、コ・キュレーターを石倉敏明、篠原雅武、黒沢聖覇、山本浩貴が担う本展。藝大美術館3階と上野のオルタナティブスペース「The 5th floor」を会場に、知念ありさ、リヴィタル・コーエン&テューア・ヴァン・バーレン、八谷和彦、HATRA+Synflux、本田健、AKI INOMATA、伊阪柊、石上純也、川内倫子、Keiken、キヲク座、Klima Magazine、黒沢聖覇、ステファノ・マンクーゾ、毛利悠子、長坂有希、中園孔二、小谷元彦、小野寛志、クロエ・パレ、坂本龍一+YCAM InterLab、佐藤亜矢子、篠原雅武、スプツニ子!、エレナ・トゥタッチコワ、渡辺育+井上岳、リリアナ・ザパタ、マリーナ・ズルコウが参加している。
長谷川がそれぞれのアーティストにテーマを投げ、提案してもらい、その考えを大切にして進めてきたという本展。ディレクターが中心となるのではなく、多様な要素が集まり構成された展覧会であり、長谷川は「アカデミックな場なので、市井の美術館ではできないチャレンジをした」と語っている。
ファッションから建築、フイルム、絵画まで、多岐にわたるジャンルを横断する本展は、ポストコロナの時代において、「アートは希望を与え、困難な状況でも共にある」というメッセージを発するものとなる。