2022.5.27

Chim↑Pom from Smappa!Group、松本竣介、メトロポリタン美術館まで。今週末に見たい展覧会ベスト5

今週開幕したもの、または閉幕する展覧会のなかから、とくに注目したい5つをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」展示風景より、《リアル千羽鶴》(2008)、《パビリオン》(2013)、《ヒロシマの空をピカッとさせる》(2009)
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美術館という場はいかに問い直せるか。「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」(森美術館)

展示風景より、《ラブ・イズ・オーバー》(2014/2022)

 2009年の《ヒロシマの空をピカッとさせる》や東日本大地震の際に発表された《LEVEL 7 feat.『明日の神話』》(2011)、歌舞伎町のビルの建材を素材として使用した「ビルバーガー」シリーズ(2016/2018)など、数々の強烈な印象を残すプロジェクトを発表してきたChim↑Pom from Smappa!Group。
その初となる本格的な大規模回顧展「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」は今週末までだ。

 展示は、「都市と公共性」「道」「DON’T FOLLOW THE WIND」「ヒロシマ」「東日本大震災」「ジ・アザー・サイド」「May, 2020, Tokyo」「エリイ」「金三昧」「くらいんぐみゅーじあむ」など10のセクションと、美術館外で展開されるプロジェクト・スペースで構成されている。

 会期中には、長く活動をともにしてきた企業「Smappa!Group」の協賛申し出を美術館に断られたことに端を発し、名称をChim↑Pomから変更するといったアクションも発生した。既存のルールを問い直し続けるChim↑Pom from Smappa!Groupならではの展覧会だ。

会期:2022年2月18日~5月29日
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53F
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00〜22:00(火〜17:00、ただし5月3日〜22:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金(平日・当日窓口):一般 1800円 / 高校・大学生 1200円 / 4歳〜中学生 600円 / 65歳以上 1500円
料金(平日・オンライン):一般 1600円 / 高校・大学生 1100円 / 4歳〜中学生 500円 / 65歳以上 1300円
料金(土日休日・当日窓口):一般 2000円 / 高校・大学生 1300円 / 4歳〜中学生 700円 / 65歳以上 1700円
料金(土日休日・オンライン):一般 1800円 / 高校・大学生 1200円 / 4歳〜中学生 600円 / 65歳以上 1500円
※事前予約制(日時指定)。当日、日時指定枠に空きがある場合は事前予約なしで入館可能。最新情報は公式サイトを参照のこと。

その足跡をあらためて振り返る。「生誕110年 松本竣介」(神奈川県立近代美術館 鎌倉別館)

松本竣介 橋(東京駅裏) 1941 神奈川県立近代美術館蔵

 神奈川県立近代美術館 鎌倉別館で開催されている、画家・松本竣介の生誕110年を記念した企画展「生誕110年 松本竣介」は今週末まで。

 明治の末年に生まれ、日中戦争から太平洋戦争へと続く過酷な時代に生きた松本竣介。1940年に自身初の個展を開催、43年に麻生三郎、寺田政明、靉光、鶴岡政男、井上長三郎、大野五郎、糸園和三郎と新人画会を結成した。しかしながら、48年、気管支喘息による心臓衰弱のため36歳で死去。西欧の古典絵画に影響を受けながらも新時代の絵画を求め、20年ほどの短い画歴のなかで多彩な展開を見せた。

 本展では、二科展初入選となった初期の黒い輪郭線による《建物》から、独自の静謐な都市風景の《橋(東京駅裏)》、代表作《立てる像》をはじめ、戦後、赤褐色の地色に粗い筆致で描いた《少女》まで、油彩・素描25点を展示。さらに会場では、松本が街歩きの際につねに携えていたという小さな『スケッチ帖』を、デジタル映像で公開している。

会期:2022年4月29日~5月29日
会場:神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
住所:神奈川県鎌倉市雪ノ下2-8-1
電話:0467-22-5000
開館時間:09:30~17:00(入館は16:30まで)※感染防止対策として、入場制限を行う場合あり。最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
観覧料:一般 700円 / 20歳未満・学生 550円 / 65歳以上 350円 / 高校生100円 / 中学生以下無料

マンガから考える「死」とは。「END展  死から問うあなたの人生の物語」(iTSCOM STUDIO&HALL二子玉川ライズ)

展示風景より

 iTSCOM STUDIO&HALL二子玉川ライズを会場に、マンガの一コマとともに死に関する様々な問いを来場者に投げかける参加型の展覧会「 END展  死から問うあなたの人生の物語」が開幕した。

 本展は昨年11月に東京・六本木のANB Tokyoで開催された「END展 死×テクノロジー×未来=?」出品作をアップデートした拡大・発展版で、テクノロジーに特化したものから、より広く一般の人へ「問い」がひらかれるように展示内容を変化させた。普段あまり考えることのない「死」について思いをめぐらせる機会を創出する展覧会だ。

 会場には、「生まれ変わりたいですか?」など、死や人生に関するさまざまな問いをが大きく掲げられ、各質問と関連する「名作マンガの1シーン」がセットで展示。『BEASTERS』や『天才バカボン』『ゴールデンカムイ』といった作品が「問い」のかたちで新たな意味を持ち始める。

会期:2022年5月27日〜6月8日
会場:iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ
住所:東京都世田谷区玉川1-14-1
開館時間:平日 11:00〜20:00 / 土日 10:00〜20:00(最終日〜17:00) ※入場は閉館の30分前まで 
料金:無料(オンライン事前日時予約制。入場にはWEBサービス「Hiraql(ヒラクル)」への登録が必要)
https://hiraql.tokyu-laviere.co.jp/end-exhibition/

西洋絵画の発展が一堂に。「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」(国立新美術館)

展示風景より、ヨハネス・フェルメール《信仰の寓意》(1670-72頃)

 メトロポリタン美術館のヨーロッパ絵画部門に属する約2500点の西洋絵画コレクションから、選りすぐられた珠玉の名画65点を紹介する展覧会が「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」だ。

 今週末までとなる本展は、「信仰とルネサンス」「絶対主義と啓蒙主義の時代」「革命と人々のための芸術」の3章で構成。ラファエロ、カラヴァッジョ、レンブラント、フェルメール、ルーベンス、ターナー、クールベ、マネ、モネ、ルノワール、ゴーギャン、ゴッホ、セザンヌなど、15世紀の初期ルネサンスの絵画から19世紀のポスト印象派までの名画が一堂に展示されている。

 メトロポリタン美術館の優れた所蔵品を通し、西洋絵画の発展を概覧する貴重な展覧会となっている。

会期:2022年2月9日~5月30日
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(金土~20:00)※入場は閉館30分前まで。最新情報は展覧会サイトにて要確認
料金:一般 2100円 / 大学生 1400円 / 高校生 1000円 / 中学生以下無料。混雑緩和のため、事前予約制(日時指定券)を導入。詳細は展覧会サイトへ

ポストコロナの時代のアートとは。「新しいエコロジーとアート」展(東京藝術大学大学美術館/The 5th floor)

展覧会ビジュアル

 上野の東京藝術大学大学美術館と根津の「The 5th floor」で、「新しいエコロジーとアート」をテーマに、現代におけるアーティスト、研究者ら双方の取り組みから、 エコロジカルな芸術実践に光をあてる展覧会が開幕する。本展は、キュレーター・長谷川祐子の同大教授退任記念展として行われている。

 ポストコロナの時代、新たな考え方や生き方を模索することが求められている。分断された人々を「共感」でつなぎ、動物や植物、モノなどを含む脱人間中心的な、複数のヒューマニティの可能性をさぐる展示が、28組のアーティストによって行われる。

 アーティスティックディレクターには長谷川祐子、コ・キュレーターには石倉敏明、篠原雅武、黒沢聖覇、山本浩貴が名を連ねる本展。新たな時代の指標をアートの視点からいかに指し示すのかを問うものとなりそうだ。

会期:2022年5月28日〜6月26日
会場:東京藝術大学大学美術館 本館3階、The 5th floor
住所:東京藝術大学大学美術館 東京都台東区上野公園12-8、The 5th floor 東京都台東区池之端3-3-9 花園アレイ 5階
開館時間:東京藝術大学大学美術館 10:00 〜17:00、The 5th Floor  11:00〜18:00
入場料:一般 1000円 / 大学生500円 / 高校生以下・65歳以上無料