豊かな自然と優れたデザインの宝庫として知られているフィンランド。その時代を超えて愛されるデザインの歩みを紹介する展覧会「ザ・フィンランドデザイン展 ― 自然が宿るライフスタイル」が、12月7日より東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催される。
1930年代から70年代にかけて、フィンランドにはいまも広く知られるデザイナーや建築家、アーティストたちが登場し、彼らの活躍によって今日まで続く独特のデザイン様式が確立された。
本展では、ヘルシンキ市立美術館(HAM)監修のもと、マリメッコやフィンレイソンのテキスタイル、カイ・フランクのガラス工芸のほか、陶磁器や家具など、同時代にデザイン・制作されたプロダクトを紹介。フィンランドの四季折々をとらえた写真や、絵画、絵本などとともに、約250点の作品と約80点の関連資料が展示される。
フィンランドに生まれたプロダクトの数々は、「大いなる自然を忘れない」という思想に裏付けられている。そのデザインには自然が宿り、暮らしを良くすることが第一に考えられている。本展では、そんなフィンランドデザインの誕生と発展のストーリーを紐解き、デザイン大国となって今日に至る背景を探る。
本展には、アルテックのチェアで名高いアルヴァ・アアルトやムーミンの作者トーベ・ヤンソンなど、50人以上のデザイナーやアーティストによる作品が集結。世界的に知られるアーティストを再認識するいっぽう、日本ではあまり知られていないつくり手たちを発見する機会ともなる。
出品作品は、コレクション・カッコネンやタンペレ市立歴史博物館、フィンランド・デザイン・ミュージアム、ヘルシンキ市立博物館など、フィンランド各地で大切に受け継がれてきた貴重なコレクションから選りすぐられる。本国でも集結困難と言えるほどの多彩な作品を通じ、近代化されゆく時代のフィンランドデザインを多角的に紹介する。
2018年から国連の「世界幸福度調査」によるランキングで4年連続世界1位を獲得しているフィンランド。自然とともに生きる暮らしのなかで生まれた、その豊かな発想力と彩りにあふれる世界を堪能したい。