古くより続くフィンランド農民の文化や工芸品を手本としたシンプルなデザインを手がけ、「フィンランドデザインの良心」として知られるカイ・フランク(1911〜89)。今回、日本とフィンランドの国交樹立100年とフランクの没後30年を記念して、フランクの日本初となる大規模個展が、神奈川県立近代美術館 葉山で開催される。
フランクは、ヘルシンキの中央産業工芸学校で家具デザインを学んだのち、45年にアラビア社のディレクターとなり、50年には同製陶所のアートディレクターに就任した。
当初はおもに陶磁器のデザイナーとして活動していたフランクだが、46年よりイッタラ社でガラス・デザインに携わり、実用的なガラス器のほか、アート・ガラスやユニーク・ピースの作品も多く生み出した。
連続生産を利用して、万能で実用的な質の高い食器を手頃な価格で提供することに成功したフランク。社会への良心に満ちたこの実践は、それまでの一般的なテーブルウェアの認識を大きく変えることになった。
本展では、アート・グラスや当時のプロダクトなどの代表作約300点を展⽰し、フランクの全貌に迫っていく。加えて、50年代の来日時にフランク⾃⾝が撮影した写真や資料なども展示。フランクの日本への深い関⼼とつながりも知ることができる。