2021.1.22

ケリス・ウィン・エヴァンスの巨大な彫刻作品を初公開。弘前れんが倉庫美術館の2021年度春夏プログラムは「りんご宇宙」

2020年7月にグランドオープンした青森県の弘前れんが倉庫美術館で、2021年度の春夏プログラムが開催。ケリス・ウィン・エヴァンスの新作コミッションワークを起点に、第一部は「りんご宇宙 ―Apple Cycle / Cosmic Seed」として多彩なアーティストが参加する。会期は4月10日〜8月29日。

ケリス・ウィン・エヴァンス「....the Illuminating Gas」会場風景(Pirelli HangarBicocca、ミラノ、2019)  ※参考図版
Courtesy of the artist and Pirelli HangarBicocca, Milan Photo by Agostino Osio
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 建築家・田根剛による設計で、元シードル工場を改修し、2020年7月にグランドオープンした青森県の弘前れんが倉庫美術館。2021年度、同館はケリス・ウィン・エヴァンスによる新作のコミッションワークを基点に、複数のアーティストの作品からなる展示を2期に分けて構成する。

 春夏プログラム(第1部)のタイトルは「りんご宇宙 ―Apple Cycle / Cosmic Seed」。「りんご」をめぐる豊かな思考と想像に着目し、国内外のアーティスト8名の多様な作品を紹介する。

雨宮庸介 Apple 2018 Courtesy of SNOW Contemporary

 軸となるケリス・ウィン・エヴァンスの新作コミッションワークは、2期にわたって展示。「植物としてのりんごの生」「りんごからシードルへの加工・生産の残像」「原罪の比喩(欲望・原動力)」「ユリイカ(わかった!)の瞬間」「ニュートンの万有引力から導かれる宇宙の自然法則、太陽の周囲をめぐる軌道」など、りんごをめぐる思考と発想から生み出された高さ約7メートルの彫刻作品が初公開となる。

 加えて、雨宮庸介、タカノ綾、和田礼治郎、潘逸舟(ハン・イシュ)が本展にあわせた新作を発表するほか、河口龍夫、笹本晃も参加。それぞれの代表作から近作を含め、絵画や映像、インスタレーション、パフォーマンスなど多様な作品群が集結する。

潘逸舟 おにっこのち 2020 Courtesy of the artist ※参考図版
笹本晃 スピリッツの3乗 2020 弘前れんが倉庫美術館蔵 (C) Aki Sasamoto Photo by Naoya Hatakeyama

 また、新型コロナの影響で展示が遅延していたジャン=ミシェル・オトニエルの新作コミッションワークもついに公開。直径2メートルにおよぶ大型のガラス作品が、奈良美智《A to Z Memorial Dog》とともに来場者を迎える。

 西洋美術史において、豊穣や生命の儚さなどの象徴として描かれてきたりんご。しかし本展ではそうした表象だけでなく、りんごを素材とした新たな創作のアプローチや、宇宙規模に展開される豊かなイマジネーションのかたちを展覧。「弘前エクスチェンジ#03」ではりんごに関する地元の研究・取り組みを紹介するなど、様々な角度からりんごの可能性に触れる機会となる。

ジャン=ミシェル・オトニエル エデンの結び目(Simulation from the artist studio)  (C) Othoniel Studio