2021.1.15

ルドン、ロートレックから冨安由真まで。今週末に見たい展覧会ベスト3

今週スタートした展覧会と1月17日までに終了する展覧会から、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。なお緊急事態宣言のため、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「冨安由真展|漂泊する幻影」(KAAT 神奈川芸術劇場 中スタジオ)展示風景より
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劇場に浮かび上がる迷宮。「冨安由真展|漂泊する幻影」(KAAT 神奈川芸術劇場 中スタジオ)

展示風景より

 劇場という空間を生かし、現代美術と舞台芸術の融合による新たな表現を紹介するKAAT 神奈川芸術劇場の「KAAT EXHIBITION」。その第5回として1月14日、気鋭のアーティスト・冨安由真による新作インスタレーションの展示がスタートした。会期は1月31日まで。

 これまで、不可視なものに対する知覚を鑑賞者に擬似的に体験させる作品を手がけてきた冨安。今回は、千葉県市原市で見つけたという2007年に廃業したホテルをモチーフに、劇場空間を丸ごとインスタレーションへと変化させた。

 無限に続くような古めかしいホテルの廊下が旅の出発点。ドアを開けると、舞台美術のように設置された実物の家具がスポットライトで次々と浮かび上がる。そしてもうひとつの廊下を抜けると、廃ホテルを描いた絵画が並ぶ展示室が出現。映像、絵画、インスタレーションが入れ子状になった無限の迷宮を、劇場空間で体験してほしい。

会期:2021年1月14日~31日
会場:KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ
住所:神奈川県横浜市中区山下町281
電話番号:045-633-6500(代表)
開館時間:11:00~18:00 ※入場は閉場の30分前まで 
休館日:会期中無休 
料金:一般 800円 / 学生・65歳以上 500円 / 高校生以下無料
 

美術館初個展で見る多彩な創作活動。「千葉正也個展」(東京オペラシティ アートギャラリー

千葉正也 タートルズ・ライフ #3 2013 東京都現代美術館蔵 (C) Masaya Chiba / courtesy of ShugoArts

 近年、国内外で活躍を見せるペインターの千葉正也。その美術館では初となる個展が、東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーで1月16日に開幕する。会期は3月21日まで。

 千葉は1980年生まれ。現在は東京を拠点に活動し、武蔵野美術大学、多摩美術大学でも教鞭を取る。自作のオブジェや日用品を用いた仮設の風景を卓抜なテクニックによって描いた絵画作品や、自身の顔を舞台女優やテコンドーの選手などの顔に直接描く「自画像」シリーズをはじめ、サウンドアート、パフォーマンスなど様々な方法を軽やかに駆使して創作活動を展開し続けている。

 本展では、千葉が一躍注目を集めるきっかけとなった《平和な村》(2006、高橋龍太郎コレクション蔵)をはじめ、国内外の美術館や個人が所蔵する代表作が集結。新作のペインティングやドローイング、映像作品、インスタレーションなどで、その活動の全貌を紹介する。

会期:2021年1月16日~3月21日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:11:00~19:00 ※入場は閉館の30分前まで 
休館日:月(祝日の場合は翌火)、2月14日
料金:一般 1200円 / 大学・高校生 800円 / 中学生以下無料
 

1894年を軸に日仏の画家を紹介。「1894 Visions ルドン、ロートレック展」(三菱一号館美術館

展示風景より、オディロン・ルドン《グラン・ブーケ(大きな花束)》(1901)

 東京・丸の内の三菱一号館が竣工した1894年を軸に、フランスの画家オディロン・ルドンアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、そして同時代の日仏の画家たちを紹介する「1894 Visions ルドン、ロートレック展」が、三菱一号館美術館で1月17日に終了する。

 本展では、ロートレック作品を多く所蔵する同館と岐阜県美術館のコレクションが集結。ルドン、ロートレックの木炭とパステル画、モロー、ドガ、ルノワール、セザンヌなどの油彩画、そして山本芳翠、藤島武二ら明治洋画の旗手たちの作品など140点以上を展覧する。高さ2.5メートルの規模を誇る壁画の一部《グラン・ブーケ(大きな花束)》(1901)といったルドンの色彩作品にも注目したい。

 なお本展では、当初同作に着想を得たソフィ・カルの新作も展示予定だったが、新型コロナの影響によって本人の来日が困難になり中止。プロジェクトは2024年まで延期となり、現在は美術館の公式ウェブサイトにカルのメッセージが掲載されている。

会期:2020年10月24日~2021年1月17日 ※展示替えあり
会場:三菱一号館美術館
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(15日 〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 2000円 / 高校・大学生 1000円 / 小・中学生 無料 ※日時指定予約制