20世紀フランスを代表する画家、ジョルジュ・ルオーの油彩・版画作品を中心に、「建築・住まい」「工芸・デザイン」「著名作家」をテーマに企画展を展開しているパナソニック汐留美術館。同館が2021年度の展覧会スケジュールを発表した。
4月にスタートするのは「クールベと海展 ―フランス近代 自然へのまなざし―」。写実主義の創始者、ギュスターヴ・クールベが1860年代以降に集中的に取り組んだ「波」の連作とともに同時代の画家たちが描いた海景画も展観しながら、当時の時代性と特異性を探る展覧会だ。
続く7月3日~9月20日の会期では、渡米前のフィンランド時代の活動に焦点を当てる「サーリネンとフィンランドの美しい建築展」が開催される。フィンランドのナショナル・ロマンティシズムを代表する建築家、エリエル・サーリネン(1873~1950)を中心に、「自然のなかの暮らしの理想」を実現した公共建築や都市計画から、住宅、生活のデザインまでを通覧できる。
秋から冬にかけて開催されるのは「ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」(10月9日~12月19日)。本展では、ジャポニスムとアール・ヌーヴォーをテーマに、ブダペスト国立工芸美術館のコレクションから、エミール・ガレやルイス・カンファート・ティファニーらの名品をはじめ、ジョルナイ陶磁器製造所などで制作されたハンガリーを代表する作品群を含む約170点を紹介。日本の美術を西洋がどのように解釈したか、そして日本の美術や工芸がどのように西洋に影響を与えたのか、そのあり様を19世紀末葉から20世紀初頭までの工芸作品の作例を通じてたどる展覧会となる。
その後は22年1月15日~3月21日に、現代陶芸の展覧会「未来へつなぐ陶芸 ― 伝統工芸のチカラ展」が予定されている。本展は、日本工芸会陶芸部会が22年に50周年を迎えることを記念して、これまでの彼らの活動を振り返り、またこれからの「伝統」をどのように生み出すのかを検証するもの。人間国宝から若手作家まで、日本の焼物の美を堪能できる内容だ。