ゲルハルト・リヒターの作品を約30億円で落札し、話題を集めている箱根のポーラ美術館が、2021年の展覧会スケジュールを発表した。
まず今年11月14日から2021年4月4日までの会期で開催されるのが、「Connections-海を越える憧れ、日本とフランスの150年」だ。19世紀後半から盛んになるジャポニスムは、欧米の芸術に大きな刺激を与え、モネやゴッホなどの創作の重要なインスピレーション源となった。いっぽうで黒田清輝をはじめとする日本人画学生はフランスへと留学し、彼らが現地で学んだ美術はその後の近代日本美術の礎となっていった。この展覧会は、大量のモノや情報、そして人の往来が可能となった時代に、双方の芸術が織りなした「美の往還」を、ポーラ美術館の西洋絵画および日本の洋画コレクションを軸にたどる試みとなる。
21年4月17日から始まるのは、「フジタ-色彩への旅」(〜9月5日)。1920年代にはパリ画壇の寵児となったレオナール・フジタ(藤田嗣治)は、1929年の一時帰国を機にそれまでの「乳白色」のイメージとは異なるシュルレアリスム風の絵画を描くようになり、31年にはパリを離れて南米へと旅立った。その後は中米から北米、日本各地や中国大陸へと旅を続けたフジタ。本展では、フジタが旅の先々で描いた人物画や風俗画、そして壁画等の大画面の絵画表現に焦点を当てる。
同じく4月17日からは、当館が所蔵する一連のクロード・モネ作品を紹介する「特集展示 モネ」(〜2022年2月予定)を開催。展示空間のデザインを気鋭の建築家・中山英之が担当することに注目したい。
なおポーラ美術館が近年注力する現代美術については、21年9月18日~2022年2月の会期での開催が予定されているが、タイトル・内容ともに調整中だという。