世界的建築家のイオ・ミン・ペイが設計を手がけ、1997年に山並みに囲まれた敷地に開館したMIHO MUSEUM。その2021年度の特別展スケジュールが発表された。
まず、2021年3月13日〜6月13日には、これまで公開されたことがなかった、同館の創立者・小山美秀子が収集した現代美術コレクションを紹介する春季特別展「MIHO MUSEUMの現代美術」が開催される。
明治から大正時代にかけて新たな日本美術をつくろうとした白山松哉や、雑誌『白樺』に集った岸田劉生やバーナード・リーチ、奈良東大寺のアトリエで創作に励んだ須田剋太や杉本健吉、柳宗悦が提唱した民芸運動のなかで大きな役割を果たした芹沢銈介などの作品を紹介する。
加えて、イオ・ミン・ペイや、同館の設立母体である神慈秀明会の神苑(みその)建設に携わった建築家ミノル・ヤマサキ、造園を手がけた彫刻家若林奮の作品、そして同館の初代館長・梅原猛の作品も展示する。
2021年7月17日〜8月22日に行われる夏季特別展「蒔絵の時代―高台寺蒔絵から江戸蒔絵へ」(仮称)では、桃山時代から江戸時代初頭にかけて花開いた、大名調度品の精緻で重厚な高蒔絵や、町衆が好んだ琳派や嵯峨棗といった蒔絵の工芸品を紹介する。
漆器の表面に金粉を蒔いて煌びやかに装飾する技法である蒔絵は、中世まで貴族など特権階級のものだったが、桃山時代に入ると大名や有力商人が好み、やがて町衆の間にも流行した。こうした蒔絵の名品を通して、「蒔絵の時代」を感じてみてはいかがだろうか。
そして2021年9月18日〜12月12日には、秋季特別展「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品」が予定されている。
アメリカ中西部ミネソタ州にあるミネアポリス美術館は、アメリカ国内屈指の日本美術コレクションを持っている。コレクションは、仏教彫刻、木版画、絵画、工芸品と多岐に渡り、なかでは浮世絵の作品を約3000点所蔵している。
本展では、ミネアポリス美術館が所蔵する日本美術コレクションから狩野派・琳派・奇想派・浮世絵などの江戸絵画を中心に、中世から近代にいたる日本絵画の変遷を展観する。同館が誇る日本絵画の全貌を選りすぐりの優品を通じて、人気絵師たちの華やかな競演を体感できるだろう。