東京・目白のTALION GALLERYで、遠藤麻衣と百瀬文による展覧会「新水晶宮」が開催される。会期は7月4日~8月2日。
遠藤麻衣は1984年生まれ。自身の結婚をモチーフにした作品《アイ・アム・ノット・フェミニスト!》などで知られ、いまここにある身体が発するメッセージと、社会規範や芸術のフォームとのずれを遊戯的に重ね合わせて表現を行なってきた。近年では、批評家・キュレーターの丸山美佳とともにクィア系アートジン『Multiple Spirits(マルスピ)』を発行。また今年2月には、オーストリア女性芸術家協会(VBKÖ)で展覧会「When It Waxes and Wanes」の企画も行なった。
いっぽう百瀬文は1988年生まれ。見る/見られる、語る/語られるといった関係の非対称性を自己言及的に問い直すような映像作品を主に手がけてきた。近年の個展に「I.C.A.N.S.E.E.Y.O.U」(EFAG、2019)、「Born to Die」(switch point、2020)など。また、イム・フンスンと共同制作した作品『交換日記』が全州国際映画祭に正式招待されるなど、国内外で活動を行っている。
身体と演じること、眼差しと欲望、セクシャリティとジェンダーについて、多様な角度からアプローチを重ねてきたふたり。本展では「理想の性器」をひとつのキーワードに、共作を発表する。マスキュリン(男性的)な言説の凝りをほぐし、軽やかなおしゃべりや転化を軸に構成される本展では、男と女、自然物と人工物などに二分されることのない、新たな性のあり方が実践される。
またギャラリーのウェブサイトでは、丸山美佳が本展に寄せたテキスト『試論としての〈ディルド〉――つくりあげながら、なってしまう』(2020)が公開されている。