環境問題や新型コロナウイルスなど「地球の危機」をテーマとした、哲学者、ブリュノ・ラトゥールが企画する展覧会「Critical Zones – Observatories for Earthly Politics」。新型コロナウイルスの影響により延期されていた同展が、5月23日よりドイツのZentrum für Kunst und Medientechnologie Karlsruhe(カールスルーエ・アート&メディアテクノロジーセンター、以下ZKM)で開幕する。
同展は地球の危機的な状況を様々なかたちで扱い、あらゆる生命体が共存する新たなフェーズを模索する展覧会だ。人間を中心とした社会ではなく、再び地球的な視点で志向することが求められる現代の共通の基盤を生み出すため、新たな市民性と、生命体への新たな関心と配慮を探っていく。
5月22日からはオープニングプログラムを「ストリーミングフェスティバル」として、24日まで同展ウェブサイトにて開催。バーチャル上の展覧会をストリーミングで案内するガイドツアーとともに、インタビューや講演などを実施する予定で、22日の現地時間18時(日本時間23日1時)からは、ZKM所長のピーター・ヴァイベルとラトゥールの対談、その後は展示を巡るガイドツアーが実施される。
なお同展カタログの序論の草稿として、ブリュノ・ラトゥールが執筆した論考「地球に降り立つことへの7つの反対理由 『クリティカルゾーン:地球に降り立つことの科学と政治学』序論」の翻訳が、『美術手帖』6月号「新しいエコロジー」特集に収録されている。翻訳は本展のスタディグループに参加してきた鈴木葉二が担当し、鈴木による本稿や展覧会に関する解説もあわせて掲載されている。