現代美術の巨匠3人と版画の知られざる関係。「驚異の三人 !! 高松次郎・若林奮・李禹煥 ―版という場所で」が世田谷美術館で開催

日本現代美術のなかで重要な位置を占める3人の作家、高松次郎、若林奮、李禹煥。彼らの版画作品に注目し、考察する展覧会が世田谷美術館で開催される。会期は2020年4月18日~6月7日(4月11日追記:本展は開催中止となった)。

 

若林奮 21, 34―VALENCE-7 1975 リトグラフ WAKABAYASHI STUDIO蔵 (C)WAKABAYASHI STUDIO

 日本現代美術のなかで重要な位置を占める作家、高松次郎(1936〜1998)、若林奮(1936〜2003)、李禹煥(1936〜)。その3人の作品が集結する展覧会「驚異の三人 !! 高松次郎・若林奮・李禹煥 ―版という場所で」が世田谷美術館にて行われる。会期は2020年4月18日~6月7日(4月11日追記:本展は開催中止となった)。

 同年に生まれた3人は、立体や平面という枠組みを超えて制作を行い、いまなお現代美術界に多大な影響を与えている。本展では、そのなかでも1970年代以降に積極的に取り組まれた「版」の表現を取りあげ、それぞれの作家が版画をどうとらえていたのか、他作品との関係や制作についての思索に注目する。

 1963年に赤瀬川原平中西夏之とともにハイレッド・センターを結成した高松は、自身の絵画制作を再確認するような版画作品を制作。本展は60年の木版作品から80年代末に制作された版画集『アンドロメダ』まで、高松の版画作品の全貌をまとめて見ることができる初の機会となる。

高松次郎 アンドロメダ A-1 1989 スクリーンプリント The Estate of Jiro Takamatsu蔵 (C)The Estate of Jiro

 60年代より金属彫刻で注目を浴びていた若林は、銅版画を多く制作。彫刻作品に見られる形体や空間への考察を版画の画面にも活かした、版画という枠組みにとらわれないバリエーション豊かな作品が展示される。

 「もの派」の最重要人物としても知られる李禹煥は、いまなお継続的に版画作品を制作。版画を絵画よりも自分と距離を置くことができ、他者性が入るメディアであると考える李は、ステンシル、木版、リトグラフ、シルクスクリーン、ドライポイントなど様々な技法を用いて実験的な作品を生み出している。本展では、昨秋発表された 100 号サイズの新作木版画も展示される予定だ。

李禹煥 Dialogue 2019 1 2019 木版 シロタ画廊蔵 (C)LEE Ufan, Courtesy of Shirota Gallery

 作家と「版」のコラボレーションによって生まれる版画。現代美術における3人の巨匠は、どう版画と向き合ってきたのか。会場で体感したい。

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