「ジオラマ」「劇場」といった写真シリーズに加え、古美術蒐集や「新素材研究所」など、多岐にわたる活動で知られる現代美術作家の杉本博司。
京都の細見美術館は杉本の企画・構成によって、蒐集品で床飾りの設えを行った「味占郷―趣味と芸術―」(2016)、杉本がリスペクトする謎のコレクター・夢石庵の美意識を再現した「末法」(2017)など、作家独自の視点で日本美術を紹介する展覧会を開催してきた。
同館で、その3回目となる「飄々表具―杉本博司の表具表現世界―」が開催される。会期は4月4日~9月6日。
今回のテーマは「表具」。表具は布や紙、そしてそれ自体も鑑賞の対象として愛でられてきた古裂(こぎれ)を用いて、作品を掛軸などに仕立てること。杉本はこれまでも「杉本表具」として、古裂を使って自身の作品や古今東西の蒐集品を新たな姿に仕立ててきた。
本展は、自身の写真を掛軸・屏風・額といった様々な形式のフレームで飾った作品を展観する第一部、「杉本表具」と細見コレクションの競演による第二部で構成。鎌倉時代、江戸時代の作品に加え、白髪一雄《墨筆抽象画》(1960前半)、アンディー・ウォーホル《罐鈴汁缶》(1974)など、現代作家による掛軸作品も見ることができる。
なお同時期には、京都市京セラ美術館の開館記念展として、杉本の個展「杉本博司 瑠璃の浄土」が開催。世界初公開となる大判カラー作品「OPTICKS」シリーズに加え、ガラスにまつわる様々な作品や考古遺物を展示する同展にも、あわせて足を運びたい。