その美しい街並みから「ドナウの真珠」とも呼ばれるハンガリーの首都・ブダペスト。その最大の美術館であるブダペスト国立西洋美術館とハンガリー・ナショナル・ギャラリーのコレクションを紹介する「ブダペスト―ヨーロッパとハンガリーの美術400年」が、国立新美術館で開催される。会期は12月4日~2020年3月16日。
本展では、16世紀ルネサンスから20世紀初頭のアヴァンギャルドの時代まで、約400年にわたる西洋美術の歴史を彩った絵画・彫刻・素描全130点を展示。2部構成で、時代・テーマごとに作品を紹介する。両館のコレクションがまとまったかたちで来日するのは、25年ぶりとなる。
Ⅰ章「ルネサンスから18世紀まで」で見どころとなるのは、宮廷画家として名声を博したルカス・クラーナハ(父)による《不釣り合いなカップル 老人と若い女》(1522)や、16世紀ヴェネチア・ルネサンス最大の巨匠であるティツィアーノが手がけた《聖母子と聖パウロ》(1540)。そのほかにもエル・グレコや、フランツ・クサーヴァー・メッサーシュミットによる彫刻を見ることができる。
Ⅱ章「19世紀・20世紀初頭」では、ルノワール、モネ、クールベ、そしてドイツで独自に前衛芸術の活動を展開したクルト・シュヴィッタースの作品が並ぶ。加えて注目したいのは、ハンガリー近代絵画の名作。この時代のハンガリーではナショナリズムの機運が高まり、芸術文化活動がきわめて活発に展開された。
本展では、今日のハンガリーで愛されている名画《紫のドレスの婦人》(1874)を描いたシニェイ・メルシェ・パールや、パリを拠点として国際的に活躍したムンカーチ・ミハーイ、「ハンガリーのナビ」とも称されるリップル=ローナイ・ヨージェフなどハンガリー近代美術の名作35点を展示する。
本展は、各時代を代表する巨匠たちの作品とともに、日本では目にする機会の少ないハンガリー近代絵画の名作を間近に見る絶好の機会といえるだろう。