ジャン=リュック・ヴィルムートは1952年フランス生まれ。ロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業後、80年代からヴェネチア・ビエンナーレやドクメンタなど多くの国際展に参加。作品の介入によって変化する人と事物の関係や、環境の変容に注目した作品を手がけてきた。越後妻有アートトリエンナーレへの参加や東日本大震災後の宮城県における制作など、日本での活動でも知られている。
エコール・デ・ボザールの教授だったヴィルムートは教育者としても高い評価を受けたが、2015年に滞在先の台湾で急逝。今回、その意志を継ぐ展覧会「Espace de Réflexion―ジャン=リュック・ヴィルムートが伝えつづけた愛と学び―」が、スパイラルガーデンで開催される。
本展の軸となるのは、ヴィルムートが模索してきた「人とアートの関係と、その教育」。SEE(目で知る)、LISTEN(耳で学ぶ)、TOUCH(参加を通じて深める)、TELL(対話によって発展させる)の4つの要素の体験に分けて、多様なプログラムを展開する。
会場では、原爆投下で大きな被害を受けた広島市立袋町小学校の外壁に残された被爆者への伝言に着想を得た《Cafe Little Boy - Tokyo Edition》や、同スペースで1997年に開催されたヴィルムートの個展の出展作《魅惑のバー》の一部を展示する。
加えて会期中は様々なイベントが開催。学びや美術教育をテーマに語り合うレクチャーやエコール・デ・ボザールの現役学生によるパフォーマンス、公募で集まった20組の若手作家が1時間作品を発表する「1時間だけの個展」などを見ることができる。