折元立身は、バゲットで顔を覆い尽くした「パン人間」や、自身が約20年にわたって介護を続けた認知症とうつ病を患う母・男代との「アート・ママ」などのシリーズで知られるパフォーマンス・アーティスト。
これまで数々の国際展に参加し、国内外で精力的に活動を行ってきた折元。主な個展に「アート・ママ」(原美術館、2000)、「生きるアート 折元立身」(川崎市市民ミュージアム、2016)、「折元立身 - 昔と今」(尾道市立美術館、2018)などがある。
その個展「Postcard Drawings and Postcards as Documents」が、青山|目黒で開催中だ。本展で折元は、これまで集中して紹介されることのなかった新旧ふたつのハガキのシリーズを発表する。
ひとつは、旅先で入手したハガキに絵手紙を書き、親しい人々へ送るメールアートのシリーズ。本展では、2017年に逝去した母へ向けてベルリンとロンドンから投函したものを紹介する。
もうひとつは、パフォーマンスやアクションを記録したポストカードのシリーズだ。活動初期の80年代は印刷費用が高価だったため、折元は自らの行為のアーカイブとして小型のハガキを用いて情報をまとめ、友人に送っていたという。本展ではこれらのカード全作品約180点を、実寸大でまとめた冊子と展示を見ることができる。