「具体」のリーダー・吉原治良による「円」の探求。個展「The Persistence of Form」がファーガス・マカフリー東京で開催

「具体美術協会」のリーダーであり、日本の抽象画のパイオニアでもあった吉原治良。その半世紀にわたる画業の代表作である、一連の「円」の作品に焦点を当てた個展「The Persistence of Form」が、東京・表参道のファーガス・マカフリー東京で開催される。会期は6月29日〜8月7日。

吉原治良 無題 1965-70 © Estate of Jiro Yoshihara

 吉原治良は1905年大阪府生まれ。54年「人のまねはするな」をモットーに、自身を代表として「具体美術協会」を結成。30年代後半から抽象絵画を描いていたが、60年代からは一貫して「円」をモチーフとした作品を手がけるようになる。

 そんな吉原による一連の「円」の作品に焦点を当てた展覧会が、ファーガス・マカフリー東京で開催される。

吉原治良 無題 1965-70 © Estate of Jiro Yoshihara

 50年代の日本人の抽象画家は、国際性を保持しながら日本人独自の表現をいかに獲得するか、という問題に直面した。関西の画家たちはその手がかりを書に求め、なかでも吉原は余白と線との関係に着想を得て、直線や曲線で構成された抽象絵画を描いた。

 その後の60年、「円」という単純な形態が無限の表情を内包していることに魅せられた吉原。それまでの「線」の探求を活かし、輪郭を縁取った「円」を描き続けるようになる。吉原にとって「円」は宗教的な意味を持つものではなく、地と図の造形的な関係を追求するためのモチーフだったという。

吉原治良 無題 1965-70 © Estate of Jiro Yoshihara

 そして晩年の吉原は「円」から脱却し、新たに「漢字」というモチーフに向かう。上下反対にする、左右反転させる、一部分をクローズアップするなど様々な方法で漢字を描くも、吉原の死によってその探求は途切れてしまう。

 本展では、こうした吉原による一連の実践を紹介。実験的でありながらも洗練された「線」と「円」の美学を楽しみたい。

編集部

Exhibition Ranking