素足を絵筆代わりに用いる「フット・ペインティング」という独自の制作スタイルで、絵画の新たな領域を切り拓いたアーティスト・白髪一雄(1924〜2008)。吉原治良を中心とする前衛芸術グループ「具体美術協会」のメンバーとしてもで知られる白髪は、そのなかでも世界のアートマーケットでとくに高く評価されている。
躍動的なストロークで描かれる抽象形態は、キャンバスをスタジオの床に平置きし、壁から吊るされたロープにつかまりながら、油絵具を足で押し出したり蹴るなどして生み出されたもの。白髪は作家人生の大部分を通してこのスタイルを貫き、新しい絵画制作のあり方の可能性を広げ続けた。
そして今回、青山のファーガス・マカフリー東京で、都内では10年以上ぶりとなる白髪の個展が開催される。本展では、身体の運動性を感じさせる力強くキャンバス作品と、紙に描き、それをキャンバスにマウントした油彩の大作を含めた1980年代、90年代の作品群を通覧することができる。なお白髪は、2020年1月11日にからは東京オペラシティ アートギャラリーで東京初の美術館個展が開催予定となっている。