吉田稔郎(1928~97)は、戦後日本美術を代表する前衛グループのひとつ「具体美術協会」において重要な役割を担ってきたとしても知られる美術家だ。
具体美術協会の創設者・吉原治良の父が経営していた油問屋(のちの吉原製油、現在のJ-オイルミルズ)で秘書兼デザイナーとして勤務。吉原から「絵画とパフォーマンスが交差する領域」での創造性を追求するよう吉原に助言を受けると、白髪一雄、元永定正、田中敦子、嶋本昭三、村上三郎など具体の作家とともに多くの作品を発表するようになった。
1997年にその生涯を終えた後も吉田の作品は、「具体」(ジュ・ド・ポーム国立美術館、1999)、「具体―ニッポンの前衛 18 年の軌跡」(国立新美術館、2012)、「具体:素晴らしき遊び場」(グッゲンハイム美術館、2013)など、国内外の具体の回顧展で発表されてきた。
今回、青山のファーガス・マカフリー東京で開催される個展は、吉田の作品の変遷をたどるもの。本展では、吉田の制作上のテーマであった「創造的破壊」の中核となる「Burn Paintings」シリーズも展示される。