広大な時間のなかの一瞬の輝き。KEN NAKAHASHIでの海老原靖展「Sing」をチェック

消費されゆく一時的なものをモチーフとする画家・海老原靖の個展「Sing」が、東京・新宿のKEN NAKAHASHIで開催される。会期は3月29日〜4月27日。

海老原靖 Sing#1〜Sing#16  キャンバスに油彩 2019 © Yasushi Ebihara Courtesy of KEN NAKAHASHI

 海老原靖は1976年茨城県生まれの画家。2001年に東京芸術大学大学院修士課程を修了した。おもに、絡み合う髪の毛を描いた「LUST」シリーズや、映画のワンシーンを切り取った「NOISE」シリーズ、90年代に爆発的人気を得た子役の象徴的存在を描いた「MACAULAY CULKIN」シリーズなど、消費されゆく一過的なものをモチーフに、繊細な筆致を何層にも重ねた油絵を発表してきた。

 これまで東京で数多くの個展を開催してきたほか、北京でも2度の個展を開催。16年にはエプソンカラーイメージングコンテストで特別賞、GEISAI#10でGIANT ROBOT賞を受賞するなど、その作品は高く評価されている。

海老原靖 Sing#2   2019 キャンバスに油彩
Courtesy of KEN NAKAHASHI © Yasushi Ebihara
海老原靖 Sing#3   2019 キャンバスに油彩
Courtesy of KEN NAKAHASHI © Yasushi Ebihara

 そして今回、東京・新宿のKEN NAKAHASHIで開催される個展「Sing」は、海老原が長年制作してきた「NOISE」シリーズに焦点を当て、同シリーズから16点を展示。これに加えて、過去に制作した絵の表面を覆うようにカサブランカを描いた《Metamorphose》などの新作も披露される。

 海老原は本展を開催するにあたって、自身のステートメントのなかでこう述べている。「人間が生きている瞬間瞬間は、自らの記憶と時間に大きく関係している。その瞬間の光り、人生そのものが広大な時間のなかの一瞬の輝きである。人間がひたすら消費し、消え去っていく時間に生じるノイズの一瞬は、無限の時空への扉を開くことになる」。

海老原靖 Metamorphose 2019 キャンバスに油彩
© Yasushi Ebihara Courtesy of KEN NAKAHASHI

編集部

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