「ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ」がちひろ美術館・東京で開催。その緻密かつ壮大な世界に迫る

絵本/映像作家のショーン・タンの日本初の大規模個展「ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ」が、東京・練馬のちひろ美術館で開催される。会期は5月11日〜7月28日。

ショーン・タン 「火曜午後の読書会」『遠い町から来た話』より 2004

 ショーン・タンは1974年オーストラリア生まれの絵本/映像作家。幼いころより絵を描くことを得意としていたタンは、学生時代にはSF雑誌で活躍。西オーストラリア大学では、美術と英文学を修めた。

 新たな世界との出会いと希望の萌芽を緻密かつ壮大に描いた絵本は、いずれも高く評価され、これまでにオーストラリア児童図書賞など数々の賞を受賞してきた。2006年に刊行された『アライバル』は23の言語で出版され、世界各地で愛読されている。

ショーン・タン 『アライバル』より 2004-06

 イラストレーターや絵本作家として活躍するいっぽうで、舞台監督、映画のコンセプトアーティストとしても活動するタン。1999年に刊行した初めての絵本『ロスト・シング』をもとに、9年の歳月をかけて制作したという短篇アニメーション映画は、11年にアカデミー賞短編アニメーション賞を受賞した。またタンは、同年にアストリッド・リンドグレーン記念文学賞も受賞している。

 タン作品には、一貫して戦争や災害のメタファーのようなモンスターが登場する。タンのイマジネーションから生まれたこれらの生き物は、人々が共同幻想としてつくり上げた神話のなかに出てくる架空の生き物にも似ており、物語の世界を豊かにする存在となっている。

ショーン・タン 『ロスト・シング』より 1999

 今回、東京・練馬のちひろ美術館で開催される「ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ」は、展は、タンの全面的な協力のもと開催される日本初の大規模個展。本展では、タンの代表作に数えられる『アライバル』『ロストシング』『遠い町から来た話』(2011)の原画、資料、映像が展示され、その創作の秘密が解き明かされる。

 これに加えて本展では、日常の風景を独自の視点で切り取った油彩画や、最新作《Tales from the Inner City》(2018)のほか、インスピレーションを描き留めた制作ノートや再現アトリエも展示される。

 会期中には、タン本人からリアルタイムで届けられるドローイングが増えていく予定。その独自の表現方法で、世界各国で熱狂的なファンを獲得してきたタンの軌跡をたどることができる。​

ショーン・タン 『アライバル』より 2004-06

編集部

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