絵本や村上春樹の装丁で知られる
イラストレーター・安西水丸の
足跡を辿る展覧会が福島で開催

1970年代より書籍の装丁、雑誌の表紙やポスター、小説やエッセイの執筆、絵本、漫画など、多方面で活動する安西水丸の展覧会「イラストレーター 安西水丸展」が福島県立美術館で開催される。会期は2018年7月7日〜9月2日。

安西水丸 『レストランの読書』 © Kishida Masumi

 安西水丸は1942年東京生まれ。70年代より小説、漫画、絵本、エッセイや広告など多方面で活躍したイラストレーター。はじめ広告代理店や出版社に勤め、デザイン等の仕事をしながら、イラストレーションを描く側だけではなく、依頼する側の視点も積極的に学んだ。

 作家・嵐山光三郎の勧めで『ガロ』に漫画を掲載すると、南房総での幼少期を題材とした『青の時代』が高い評価を受ける。イラストレーターとして独立してからは、作家・村上春樹の著作をはじめとする本の装丁や、『がたん ごとん がたん ごとん』などの絵本、イラストレーター・和田誠との展覧会、広告や執筆活動など幅広く活動している。

安西水丸 『がたん ごとん がたん ごとん』© Kishida Masumi

 安西は「その人にしか描けない絵」を追求し、身近なものを独自の感性で表現。その作品は画面の要素をできる限りそぎ落としながらも、柔らかくユーモアに溢れたものだ。

 本展では、「小さい頃よりずっと絵を描くことが好きだった」という安西の幼少期から晩年に至るまでの足跡を、原画と資料あわせて700点以上により紹介。また、公私にわたり親交のある嵐山光三郎、村上春樹、和田誠との仕事を紹介し、三氏との交流のなかでうまれた作品の魅力に迫る。

 明快な色合い、モチーフの大胆な配置、最小限の要素で構成された画面からは、温かな静けさが漂う。自由で洒脱、そのうえユーモアまで溢れ出す、そんな水丸ワールドを堪能することができる展覧会だ。

編集部

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