2018.6.24

絵本『スイミー』の原画も来日。
レオ・レオーニの波乱の生涯と絵本原画を紹介する展覧会が開催

1939年にアメリカに亡命後グラフィックデザイナーとして活躍し、孫のために制作した絵本をきっかけに、本格的に絵本の世界に足を踏み入れたレオ・レオーニ。絵本『スイミー』の作者であるレオーニの作品を、絵本の原画を中心に、油彩・彫刻・グラフィックデザインなどもあわせて紹介し、その人生と創作に迫る展覧会が開かれる。会期は8月11日〜9月24日。

レオ・レオーニ おんがくねずみジェラルディン 1979 ©︎ 1979 by Leo Lionni/Pantheon
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 絵本『スイミー』は、赤い色をしたきょうだいたちの中で、1匹だけ真っ黒な魚「スイミー」が主人公の物語。谷川俊太郎が翻訳を行った日本語版は小学校の教科書にも掲載され、世代を超え日本全国で親しまれている。本展は、その『スイミー』作者として知られるレオ・レオーニ(1910-1999)の創作世界を紹介する。

 オランダ生まれのユダヤ人であるレオーニは、イタリアをはじめ欧米各地で活動した後、1939年にアメリカに亡命、グラフィックデザイナーとして活躍した。49歳で孫のために絵本を制作したことをきっかけに、絵本の世界に足を踏み入れた。この時制作し、59年に出版した『あおくんときいろちゃん』は、青と黄色の紙きれの友情を描いた作品で、抽象表現が初めて取り入れられた子供の絵本だとも言われている。

レオ・レオーニ ペツェッティーノ 1975 ©︎ 1975 by Leo Lionni, renewed 2004 by Nora Lionni and Louis Mannie Lionni/Pantheon

 以降、40冊近くの絵本を世に送り出し、切り絵によるねずみが主人公の『フレデリック』や、いろいろな鳥の寸法を測るしゃくとりむしが描かれる『ひとあしひとあし』など、小さな主人公たちが「自分とは何か」を模索し、自分らしく生きることを学んでいく物語を、水彩、油彩、コラージュなどさまざまな技法を用いて描いてきた。

 本展では、ヨーロッパとアメリカを移動し続けたレオーニの波乱の生涯と重ね合わせながら絵本原画を紹介するほか、アート・ディレクターとしての仕事、絵画、彫刻など幅広い活動を約200点の作品で紹介。レオーニが絵本に初めて抽象表現を取り入れるに至った道筋にも光を当てる。

 なお、『スイミー』の原画では、スロヴァキア国立美術館所蔵の、幻とされた原画計5点も来日。これらの原画は、絵本『スイミー』の絵とは少し違った、原画ならではの特徴があるため、会場ではじっくりその違いも楽しみたい。

レオ・レオーニ せかいいちおおきなうち 1968 ©︎ 1968 by Leo Lionni, renewed 1996/Pantheon