具体美術協会のメンバーであり、ロープにつかまり素足で滑走して描くアクション・ペインティングで知られる作家、白髪一雄(1924~2008)。その没後10年に合わせ、「白髪一雄記念室」を有する尼崎市総合文化センターで個展が開催される。
本展では、白髪の「水滸伝 豪傑シリーズ」全108点のなかから、東京・京都・大阪の国立美術館をはじめ、国内の美術館所蔵作品を集めた20点を展示。『水滸伝』とは、中国・北宋の時代に起こった反乱を題材とする物語。108人の豪傑が腐敗した政府高官を相手に戦い、滅びていくというストーリーだ。
白髪は中国の古典文学や書に興味を抱き、制作にもその影響が見られるが、とくに少年時代から愛読していたのがこの『水滸伝』。「水滸伝 豪傑シリーズ」それぞれの作品には、豪傑108人の名がタイトルとして付けられている。
同シリーズは、白髪が具体美術協会で活躍した1950年代後半~60年代前半に描かれた作品。渾身のエネルギーが画面にぶつけられ、白髪作品を代表するアクション・ペインティングの真骨頂と言える。
また、尼崎市総合文化センター館内の白髪一雄記念室では、『水滸伝』をはじめ中国文化の影響がうかがえる作品を紹介する「中国への憧れ」展を同時開催中。同展の会期は2019年3月17日まで。