今年4月の全館リニューアル・オープンを記念し、愛知県美術館でコレクション展「アイチアートクロニクル 1919-2019」が開催される。
いまからちょうど100年前の1919年、岸田劉生を中心とした東京の洋画グループ「草土社」に影響を受け結成された「愛美社」による第1回展が行われた。同グループは画家・大沢鉦一郎を筆頭に、10~20代の若者によって構成。風景や村娘など草土社風の主題を描きつつ、愛知に軸足を置いて活動を展開した。本展はこの年を起点として、現在までの愛知のアートシーンの流れをたどろうとするものだ。
まず1919年〜20年代にかけては、前述の愛美社のほか、鬼頭鍋三郎らの洋画グループ「サンサシオン」が活動。その後の30~40年代には若い美術家たちによって「ナゴヤアバンガルドクラブ」が結成されるなど、名古屋はシュルレアリスムの一大拠点となった。
そして40〜50年代には戦争を経て、「中部日本美術協会」が幅広い表現の受け皿として機能。50〜60年代には、多彩な画材を用いた実験的な日本画が興隆したほか、先鋭的な活動の場が画壇から個人へと移っていく。
その後、「ゼロ次元」や「ぷろだくしょん我S」といった前衛グループが登場する60~70年代、ギャラリーとコレクターがいち早く海外の動向をキャッチし、アートシーンを牽引した80~90年代を経て、2000〜10年代には官主導の公募展や芸術祭、アーティストランスペースが活性化することとなる。
こうした動きを、愛知県美術館だけでなく、名古屋市美術館や豊田市美術館などを含めた地域のコレクション全体で振り返る本展。この100年間、愛知のアートシーンを揺り動かしてきた様々な出来事をたどり、その熱量を感じてみたい。