「瑛九の部屋」で傑作《田園》に出会う。埼玉県立近代美術館のコレクション展第4期をチェック

埼玉県立近代美術館で、「MOMASコレクション 第4期」が開催中だ。本展では、瑛九とその生涯の友人である山田光春を特集。それにあわせ、瑛九の《田園》を、鑑賞者が照明をコントロールしながら見ることのできる「瑛九の部屋」として展示する。会期は4月14日まで。

瑛九 田園 1959 特別出品:加藤南枝蔵

 埼玉県立近代美術館で開催中のコレクション展「MOMASコレクション第4期」では、瑛九(1911〜60)とその生涯の友人であった山田光春(1912〜81)に焦点を当てている。

 瑛九(えいきゅう)は油彩画、フォト・デッサン(フォトグラムを拡張した瑛九による造語)、銅版画、リトグラフなど様々な手法で創作活動を展開した作家。美術評論家や教育家としても活動し、靉嘔や池田満寿夫、河原温など、後の作家たちに大きな影響を与えた。

 山田光春は、ガラス絵で知られる瑛九と同時代の作家。山田は教師として赴任した宮崎県で瑛九と出会い、生涯の友となる。山田は瑛九が亡くなった後、その人生や作品を調べ上げ『瑛九 評伝と作品』(青龍洞、1976)を刊行し、多様な活動を展開した瑛九の名を美術史に残した。

 本展では、影響関係にあった2人の作品を「瑛九と光春―イメージの版/層」として特集。山田のガラス絵や、瑛九をモデルにしたと推測されるスケッチブックを初公開する。また、瑛九の油彩画《手》(1957)とその制作に使用したとみられる型紙、フォト・デッサンやコラージュを展示。2人の作品から、どのように独創的なイメージが生み出されたかを探る。

 また本展では「特別展示:瑛九の部屋」として、瑛九の最重要作品とも言える《田園》(1959)のみを暗室に展示。鑑賞者が照明をコントロールしながら、様々な光のなかで《田園》を見ることができる。同企画は、2011年の「生誕100年記念 瑛九展」(宮崎県立美術館、埼玉県立近代美術館、うらわ美術館)の開催後、《田園》の所蔵者から埼玉県立近代美術館に提案されたプランをきっかけとして実現したもの。闇と光のなかで、瑛九の傑作をじっくりと鑑賞してみたい。

 なお現在、同館は《田園》にちなんだ町田良夫による映像作品を配信中。これに続き、写真家の金村修と小松浩子による新たなバージョンの配信が予定されている。

編集部

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