2019.2.2

横浜市民ギャラリーが見つめてきた昭和後期の現代美術とは? 約50点を紹介するコレクション展が開催

横浜市民ギャラリーの昭和後期の作品を中心としたコレクションから、約50点あまりを紹介する展覧会「横浜市民ギャラリーコレクション展2019 昭和後期の現代美術―1964~1989―」が開催される。会期は3月1日〜17日。

菅木志雄 Spreading Wood '86 1986
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 1964年に地元の美術愛好家の声を受けて開設され、当時「横浜で最初の美術館」とも言われた横浜市民ギャラリー。開館当初から現代美術を紹介する年次企画展「今日の作家展」や「横浜市こどもの美術展」といった展覧会シリーズを継続して開催し、89年の横浜美術館開館まで市内の美術施設として中心的な役割を果たしてきた。

 また同館は、企画展や国際展の折に収蔵された約1300点のコレクションを有する。今回は、そのなかでも開館の64年から昭和最後の年である89年までに焦点を当てた展覧会「横浜市民ギャラリーコレクション展2019 昭和後期の現代美術―1964~1989―」を開催する。

斎藤義重 ボウパンC・青 1971

 展示予定の作家は菅木志雄、元永定正、草間彌生、高松次郎、斎藤義重、中林忠良、宮脇愛子、若江漢字、岡本太郎、村上善男など。「今日の作家展」出展作家の作品を中心におよそ50点を展示し、横浜を舞台に発表された昭和後半期の表現を考察する。

 また本展では「吉仲太造、その表現」として、吉仲太造(1928~85)の全収蔵作品を特集展示。岡本太郎らに影響を受け、油彩のみならずカミソリやボタンをコラージュするなど実験的な制作を続けた吉仲の作品から、その表現や時代性を掘り下げる。

吉仲太造 死の売り声(釘A) 1963

 横浜という場所から現代美術の動向を見つめ続けてきた横浜市民ギャラリー。本展は、同館のコレクションの背景に横たわる「昭和」後期の美術を再考するきっかけとなるだろう。