ジェンダーに対する構造的暴力を探る。「ジェンダーの暴力」展が香港のアートセンター・大館(タイクン)でスタート

行為主体が明確でない構造的暴力。その身体や性別、セクシュアリティなどの問題における構造的暴力に注目した展覧会「パフォーミング社会:ジェンダーの暴力(PERFORMING SOCIETY: THE VIOLENCE OF GENDER)」が、香港のアートセンター「大館(タイクン)」で開催されている。会期は4月28日まで。

ラファエラ・フォーゲル Uterusland(一部) 2017 Courtesy: BQ, Berlin & Raphaela Vogel

 身体や性別、セクシュアリティ、アイデンティティ、行動などに関連する問題における構造的暴力に注目した展覧会「パフォーミング社会:ジェンダーの暴力(PERFORMING SOCIETY: THE VIOLENCE OF GENDER)」が、2月16日に香港のアートセンターである「大館(タイクン)」でスタートした。

 ドイツのフランクフルト現代美術館が企画した本展は、「構造的暴力」の概念を解明しながら、ジェンダーに対する暴力の性質を探るもの。董金玲、ジャナ・オイラー、アンネ・イムホフ、オリバー・ラリック、劉野夫、馬秋莎、ジュリア・フィリップス、パメラ・ローゼンクランツ、マリアンナ・シネット、ラファエラ・フォーゲル、黃炳といった11名の作家を紹介する。

展示風景より、手前はジュリア・フィリップス《Exoticizer (Josephine Baker’s Belt)》(2017) Courtesy: Private Collection; the artist; Campoli Presti, London/Paris

 構造的暴力とは、行為主体が不明確であり、間接的・潜在的にふりかかる暴力の形態のこと。日常的に存在する構造的暴力は、物理的な暴力と同じように人々の麻痺状態を起こす。身体やセクシュアリティ、アイデンティティなどを支配する暴力的な枠組みは、既存の権力構造や社会規範、文化的帰属、宗教的伝統、生物学的特徴などによって形成される。

 本展のキュレーターでフランクフルト現代美術館館長のスザンヌ・プフェッファーは本展について、次のようにコメントしている。「本展の出展作家は、女性の根本的に否定された能力を取り戻し、異性愛を基盤とした家族制度への反論を展開します。作家たちは、ファンタジー、ユーモア、そして痛みを用いて、作品の限界を超えて様々なイメージを生み出すことを可能にします」。

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