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INSIGHT - 2018.6.30

キュレーション論からジェンダー論、キャラクター表現論まで。6月号新着ブックリスト(2)

『美術手帖』の「BOOK」コーナーでは、新着のアート&カルチャー本の中から毎月、注目の図録やエッセイ、写真集など、様々な書籍を紹介。2018年6月号では、ジェンダー的な視点から表現を問う書籍やキュレーターの自伝的芸術論などを取り上げた。ウェブでは3冊ずつ、2回にわけて紹介する。

文=近藤亮介+中島水緒

左から『Re:エターナルフォース 画像コア』『ジェンダー・トラブル 新装版 ─フェミニズムとアイデンティティの攪乱』『引込線 2017』

『Re:エターナルフォース 画像コア』

 カオス*ラウンジのメンバーとして2010年代のアートシーンに新風をもたらした梅ラボこと梅沢和木。待望の初作品集は、09年以降の主要作品、展示風景に加え、黒瀬陽平、藤城嘘、筒井宏樹の論考、梅沢作品に言及した過去のレビューを網羅する決定版だ。ネット上で集めた画像のコラージュとペイントがカオティックに融合する絵画作品は、インスタレーション的展開も含めて近年ますます怪物的な進化を遂げている。幅広い文脈から集まった寄稿は、梅沢作品の多角的な解釈を促す。(中島)

『Re:エターナルフォース 画像コア』

梅沢和木=著

CASHI|2000円+税

『ジェンダー・トラブル 新装版―フェミニズムとアイデンティティの攪乱』

 1990年の著作の新装版。「女」なるカテゴリーは自然の事実なのか、社会的に構築されたパフォーマンスなのか。社会的な構築物としての性は言語の反復行為によって生産され、現体制の強化につながる。だが、それは行為性によって体制内部を攪乱する契機もはらんでいる。強制的異性愛と男根ロゴス主義の限界を看破し、ジェンダー・カテゴリの歴史的展開も検証。文化的・政治的構築物としての身体観を解体する視点は芸術表現にもヒントをもたらしそうだ。(中島)

『ジェンダー・トラブル 新装版―フェミニズムとアイデンティティの撹乱』

ジュディス・バトラー=著

青弓社|2800円+税

『引込線 2017』

 2008年に始まり、昨年第6回目を迎えた自主企画展「引込線」。「同時代の美術を支える両輪は作品と批評」という考えに基づいて編まれた本書は、たんなる図録・記録集ではなく、美術家と文筆家のための「もう一つの表現の場」として企図されている。各論考は、一見無関係なアーティスト(例えばモランディや川久保玲)も同列に論じ、出展作家をより巨視的な文脈に位置付けることで、作品と批評との相乗効果を期待する。ありふれた大規模芸術祭とは一味違う、美術の深遠さを体感できる一冊。(近藤)

『引込線 2017』

櫻井拓=編

引込線実行委員会|2500円+税

『美術手帖』2018年6月号「BOOK」より)