生活のなかで変化する、自身の姿をとらえた内省的な作品群とは? フィンランド出身の写真家、エリナ・ブロテルスの個展をチェック

フランスとフィンランドを拠点とする写真家、ビデオ・アーティストのエリナ・ブロテルスによる個展が、東京・新宿のユミコチバアソシエイツで開催されている。本展では初期作のほか、フィンランドのアコーディオニストとのコラボレーションから生まれたビデオ作品を展示。会期は3月9日まで。

©Elina Brotherus film still from Event for the Midnight (after Mieko Shiomi) Courtesy of Yumiko Chiba Associates

 エリナ・ブロテルスは1972年フィンランド・ヘルシンキ生まれ、2000年にヘルシンキ芸術デザイン大学(現・アアルト大学)大学院を卒業。97年から写真と映像を用いた制作を始め、フランスのポンピドゥー・センターやフィンランドのセルラッキアス美術館など、ヨーロッパで数々の個展を開催している。

 ブロテルスは、フランスへの移住によって起きた変化や自らの結婚と離婚、不妊治療の過程など、自身の日常生活のなかでの出来事を反映させた自伝的な作品のほか、フリードリヒやセザンヌといった歴史的な画家による絵画作品の構図やモチーフを下敷きにした美術史的な作品など、多面的なアプローチで制作を続けてきた。

©Elina Brotherus film still from Wrong Face 2013 Courtesy of Yumiko Chiba Assocites

 作品のなかで一貫して人間と風景、アーティストとモデルといった関係性を扱ってきたブロテルス。現在は、フルクサスによるイベントのためのスコアや、60~70年代に派生したパフォーマンス・アートのために書かれた指示書を再考した作品を展開している。

 「アーティスト・ファイル 2008―現代の作家たち」(国立新美術館、2008)に参加して以来、日本では10年ぶりの発表の機会となる本展。初期作のほか、フィンランドを代表するアコーディオニストのマリア・カラニエミとのコラボレーションによって生まれた、日本では初公開となるビデオ作品《タンゴトラウザーズ》を見ることができる。

編集部

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