2019.2.14

一足早い春の訪れ。藤代冥砂が個展「Roses」で新作を発表

藤代冥砂の個展「Roses」が、東京・外神田のAI KOWADA GALLERYで開催される。本展では、藤代が初めて「花」を被写体にしたシリーズを見ることができる。会期は2月16日〜24日。

藤代冥砂 Roses,1 BRIGHT 2019

 藤代冥砂(ふじしろ・めいさ)は1967年千葉県生まれの写真家。90年に活動を開始して以来、グラビアのみならず、家族との私生活や女性の肉体、自然風景など、様々なものを被写体としてきた。

 これまでに『ライドライドライド』(1999、スイッチ・パブリッシング)、『肉』(2003、Book design)、そして代表作『もう、家に帰ろう』(2004、ロッキングオン)など、多くの写真集を発表してきた藤代。これらは私的な紀行を撮りおろした家族写真的なものであり、いずれも憂鬱、不安、動揺、喜び、愛といった藤代の感情が等身大で表現されている。

 2005年に藤代は東京を離れ葉山に移住。11年からは沖縄を拠点に活動を行っている。その後しばらく主夫業に専念していたが、16年に写真集『SKETCHES OF TOKYO』(2016、青幻舎)を発表し、写真家として復帰。同作では、タイトルの通り、女性を通して現在の東京を透視することを試みた。

 近年では、初の風景写真集となる『あおあお』(2016、赤々舎)、『山と肌』(2017、玄光社)を発表。20〜30代にかけての藤代による「ロマン主義」的な作品群から、人間の力のおよばない聖なる摂理を、謙虚に正対し、とらえようとする「写実主義」的な表現に進化を遂げた。

 そして今回、東京・外神田のAI KOWADA GALLERYで個展「Roses」が開催される。本展は、藤代が初めて「花」を被写体にしたシリーズを紹介するもの。

 約2年にわたって福岡、大阪、新宿といった都市に咲くバラを撮影した一連の写真群は、眩しいほどに明るくプリントされており、色彩と光に触れる喜びを感じ取ることができる。