東京・天王州の建築倉庫ミュージアムにて、現代の写真表現と建築の間に存在する、多義的で複雑な関係に迫る企画展『「建築」への眼差し -現代写真と建築の位相-』が開催される。
19世紀以降から今日にいたるまで、建築写真は記録媒体としての性格が強く、建築ジャーナリズムを中心として大量に生産・消費されることがほとんどだ。しかしそのいっぽうで、記録としての建築写真とは異なる立ち位置で建築に関心を示す写真家や現代美術家がいる。本展ではそのような作家たちによる作品に焦点をあてるという内容だ。
本展に展示されるのは、今井智己、杉本博司、鈴木理策、畠山直哉、ホンマタカシ、宮本隆司、米田知子といった日本の作家をはじめ、トーマス・デマンド、トーマス・ルフ、マリオ・ガルシア・トレス、カンディダ・へーファー、ルイザ・ランブリ、ジェームズ・ウェリングら13名の作品だ。
トーマス・ルフ、カンディダ・へーファーら、ベッヒャー派の作品から、杉本博司、ホンマタカシなど多岐にわたる作家による建築写真と同時に、被写体のなかから6つの建築物の模型も併せて展示。模型を通じて建築物の全体像を把握することで、個々の写真表現の魅力や特徴をより深く知ることができる。
被写体となるのは、ル・コルビュジエによる「サヴォア邸」、ミース・ファン・デル・ローエの「トゥーゲントハット邸」そしてオスカー・ニーマイヤー「カノアスの邸宅」といったモダニズム建築の名作から、ヘルツォーク&ド・ムーロンの近作「エルプフィルハーモニー・ハンブルグ」まで、国内外の13の有名建築が揃う。
また、会場設計を建築家・田根剛が率いるAtelier Tsuyoshi Tane Architectsが担当。その展示空間も楽しみたい。