イケムラレイコの個展が国立新美術館で開催。40年の探求の先に見つめる、今日の社会と神話的な風景とは
1980年代前半からドイツを拠点に活動し、絵画や彫刻など多様なメディアを用いて制作を行うイケムラレイコの個展「イケムラレイコ 土と星 Our Planet」が東京・六本木の国立新美術館で開催される。本展は16のテーマに沿ったインスタレーションで、210点にのぼる多彩な作品を紹介する。会期は2019年1月18日〜4月1日。
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イケムラレイコは三重県生まれ。72年の渡欧後、スイスで本格的に画家としての活動を開始し、83年からはドイツを拠点に活動してきた。
日本では「イケムラレイコ うつりゆくもの」(東京国立近代美術館、2011)、「イケムラレイコ PIOON」(ヴァンジ彫刻庭園美術館、2014)などの個展を開催。国外では2009年にアウグスト・マッケ賞を受賞し、13年にはカールスルーエ州立美術館(ドイツ)で個展が開かれるなど、ヨーロッパと日本を中心に高く評価されている。
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Courtesy Galerie Karsteu Greve AG, St. Moritz
イケムラは絵画、彫刻、ドローイング、水彩、版画、写真など多岐にわたるメディアを扱いながら、何かが生まれる途上に潜む、はっきりとは見えない無限の可能性を表現しようとしてきた。本展「イケムラレイコ 土と星 Our Planet」では、そんな不可能とも思える目標に取り組み続けてきた表現の軌跡を、約210点の作品で紹介する。
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Courtesy of the artist and Galerie Mikael Andersen
1980年代における新表現主義の流れのなかで、荒々しい絵画やユーモラスなドローイングなど様々な実験的な試みを行ってきたイケムラ。しかしその経験を経て90年代以降に現れてきたのは、小さな動物や無垢な少女、母と子、木々や山と一体化した人物などの神話的な風景だった。
こうしたモチーフを扱ういっぽうで、近年イケムラは社会に向き合う態度をより意識するようになったという。寡黙でありながら深く内省的なその作品世界は、生きとし生ける存在の多様性をあるがままに受け入れようとする強靭な思想を提示する。
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本展は「有機と無機」「少女」などのテーマに基づく16のインスタレーションで構成され、クライマックスを飾るのは新作の大型絵画《うねりの春》。人や動物、自然がかたちを変えながら連鎖するイメージのなかで、イケムラの活動をたどり直し追体験することができる内容となっている。
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Courtesy of the artist and Galerie Karsten Greve, St. Moritz, Paris, Cologne