様々な表現によって絵画のなかに描かれてきた「時間」。今回、箱根のポーラ美術館で開催される「名画の時間」展は、そうした絵画における「時間」の表現に焦点を当てた展覧会だ。
本展では、瞬間的な情景や時代特有の空気、永遠性など、絵画に描かれる「時間」をテーマに、ポーラ美術館のコレクションから約80点の名品をピックアップ。かたちを持たない「時間」を描くために、画家たちはいかにしてモチーフや表現方法を選んできたのかを、西洋絵画、日本の絵画、版画と幅広いジャンルの作品を通して探っていく。
特別企画として国内外で活躍するフラワーアーティストの東信が、ポーラ美術館収蔵の花の絵画とコラボレーションした映像シリーズ「Drop Time」も見どころのひとつだ。
同作において東は、黒田清輝《菊》(1912)、ピエール・オーギュスト・ルノワール《アネモネ》(1883~90頃)、オディロン・ルドン《日本風の花瓶》(1908)の3点を生花によって再現。その花々を数週間にわたり撮影し、生命の移ろいを記録することによって、限られた儚い「時間」の視覚化を試みた。名画に多彩に描かれてきた「時間」の表現を、東によるコラボレーション作品を交えて体感できる。