二藤建人が2会場・2部構成で個展「ヘルニア」を開催中。社会生活における個人への負荷を指摘し、そこからの脱出を探る

サラリーマン・アーティストとして日常の様々な実感を作品化してきた二藤建人の個展「ヘルニア」が、東京のギャラリーN神田社宅、愛知県のgallery Nの2会場・2部構成で開催される。会期は第1部が12月1日まで(東京)、第2部が12月8日〜26日(名古屋)。

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 美術家・二藤建人の個展「ヘルニア」が、東京のgallery N神田社宅と、愛知県のgallery Nの2会場・2部構成で開催される。 

 二藤は1986 年埼玉県生まれ。当初「重力と反発」「接触」などのテーマに基づき、大型の彫刻作品を中心に制作してきた二藤だが、自身の子を授かった2013年より一般企業に就職。就職後はそれまでの主題を軸としながらも、生活のなかで得られた生々しい実感や疑問を積極的に表現の場に持ち込んでいる。

 相合傘に雨を降らせた結婚写真 《傘の内側に降る雨》(2014)をはじめ、連なる家族の身体によって重力と愛の関係が示された《私の愛は私の重さである》(2015)や、 浮遊する部屋の中に敷かれた布団の中で爆弾と添い寝をする体験型サウンドインスタレーション《pillow talk》(2016)など、その表現は多岐にわたる。 

 今年の夏に退職後、初となる今回の個展は、ラテン語で「脱出」を意味し、医療用語として知られる「ヘルニア」をテーマに据えて展開されるもの。重力に対して直立の姿勢をとる人間の因果としての現象を、現代における共同体のあり方、個人のあり方に重ねた新作が展開される。

 すでに東京会場で開催中の第1部「労働のエステティクス」では、暗室中を稼働する彫刻、腰椎をかたちづくるように向かい合うモニターによって、労働の見えざる負荷の、可視領域への抽出を試みている。

 また、12月8日より名古屋会場で開催予定の第2部「自由な落下のために」では、社会生活において大きな負荷を受け続ける個々人が、潰れず生き延びるために「目指すべきヘルニア」を提案する。 

編集部

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