青々としたメランコリックな世界。新進気鋭のアーティスト・猪瀬直哉が初個展「Blue」を開催

ロンドン拠点のアーティスト・猪瀬直哉の初個展「Blue」が、東京のGINZA SIX内にあるアートギャラリー「THE CLUB」で開催される。本展は、猪瀬の制作の原点である「ブルー」をテーマに、新作と旧作を回顧展形式で紹介するもの。細部までくまなく描いた精巧な風景と抽象美をかけ合わせた青の世界を堪能したい。会期は12月1日〜2019年1月31日。

猪瀬直哉 Polylith into the blue 2018 © Courtesy of the artist

 猪瀬直哉は1988年神奈川県生まれのアーティスト。2012年に東京藝術大学絵画科油画専攻を卒業後、15年から16年にかけて、文化庁新進芸術家海外研修員としてロンドンに滞在。17年にはロンドン芸術大学・チェルシーカレッジオブアートで修士号を取得した。現在もロンドンを拠点に活動を行っている。

 猪瀬はこれまでに日本とイギリスのほか、韓国、中国、イタリアでのグループ展にも参加するなど精力的に活動を行ってきた。今年は1月から3月にかけて、国立新美術館で開催された「未来を担う美術家たち 20th DOMANI・明日展」にも出品し、注目を集めた。

 自然界とそこにおける人間の強欲なあり方、そしてそれによって生み出される不調和な関係性を「絵画」によって探求してきた猪瀬。ロマン派における風景絵画、マーク・ロスコやバーネット・ニューマンらの抽象絵画の色面構成に影響を受け、風景のダイナミズムが落とし込まれた画面には、奥深いアートの文脈も感じうる。

 細部まで精巧な風景と抽象的な世界を、油絵の技術でキャンバスに描き出すことによって、人々がどのように自然と向き合っているのかを問い、さらにポストモダニズムにおける絵画の役割、そしてそれがどのように変化しているか考察している。

 そんな猪瀬の初個展となる「Blue」が、東京・銀座のTHE CLUBで開催される。本展は展覧会タイトル通り、猪瀬の制作の原点である「ブルー」をテーマに、新作と旧作を回顧展形式で紹介するもの。視覚的に青く溶け込む大気、空、海に飛び込んでいく感覚と、鬱々としたメランコリック的要素が同居した、猪瀬独特の「青」の表情を楽しむことができる。

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