パフォーマンスとビデオ・アートの先駆者。ジョーン・ジョナスが個展で見せる、世界への眼差しとは

今年京都賞を受賞したアメリカ人アーティスト、ジョーン・ジョナスが東京・六本木のワコウ・ワークス・オブ・アートで個展「Simple Things」を開催する。会期は11月17日~12月26日。

ジョーン・ジョナス Stream or River, Flight or Pattern(Journey) 2017©Joan Jonas Courtesy of Gavin Brown's enterprise, WAKO WORKS OF ART

 第34回京都賞(思想・芸術部門)の受賞決定が記憶に新しいジョーン・ジョナス。その5年ぶり4回目となる個展が、ワコウ・ワークス・オブ・アートで開催される。

 ジョナスは1936年ニューヨーク生まれ。60年代からリチャード・セラやロバート・スミッソンらと実験的な活動を行い、日本でポータパック(ポータブルビデオカメラ)を購入したことをきっかけに、70年代前半からニュー・メディアと身体表現の融合を実践してきた。 

ジョーン・ジョナス Reanimation Performance(Milan 2014) 2014 ©Joan Jonas
Courtesy of Electronic Arts Intermix, Gavin Brown's enterprise, WAKO WORKS OF ART

 パフォーマンス中のドローイング制作やスタジオワーク、パフォーマンスの記録映像など、ジョナスの表現方法は多岐に渡る。その作品はおとぎ話、私的なエッセイから壮大な神話まで様々なイメージソースから組み上げられ、素材と意味が折り重なった複雑な構造を持つ。

 ジョナスは「私の仕事はすべてレイヤリングにまつわるものです。私達はあるイメージを見て、その上に別のイメージを思い描きます。私の仕事は、世界をみる方法それ自体を表していると思います」と語る。作品にはその言葉を体現するように仮面や鏡、ビデオのスクリーンなどが登場し、レイヤー状に絡み合っている。

ジョーン・ジョナス Beautiful Dog 2014 ©Joan Jonas
Courtesy of Electronic Arts Intermix, Gavin Brown's enterprise, WAKO WORKS OF ART

 本展では、映像作品2点とパフォーマンスの記録映像1点を展示。ジョナスに着想源をもたらし続ける「旅」と、これまでも作品に登場し続けてきた「犬」、そして「ライブパフォーマンス」という3つの観点から、作家の世界への眼差しを紐解く内容だ。

 広大な世界を抽象的に語りながらも、パフォーマンスによって個人的な存在を登場させ、私たちが世界と関わるさまを鮮やかに浮かび上がらせるジョナス。来日を記念して、本展会期前の11月10日、11日に京都国際会館で授賞式と講演、14日にはロームシアター京都にて作家本人によるワークショップの開催が予定されている。

編集部

Exhibition Ranking