田根剛は1979年東京生まれの建築家。2006年、イタリア人建築家のダン・ドレル、レバノン人建築家のリナ・ゴットメとともにDGT.(DORELL.GHOTMEH.TANE / ARCHITECTS)をパリで設立。エストニア国立博物館をはじめ、フランス、スイス、レバノン、日本において数多くのプロジェクトを手がけている。
12年には、新国立競技場基本構想国際デザイン競技において《古墳スタジアム》がファイナリストに選ばれ、国際的な注目を集めた。おもな受賞歴に、フランス文化庁新進建築家賞(2008)、ミラノ建築家協会賞受賞(2008)、ミラノ・デザイン・アワード2部門受賞(2014)などがある。なお、17年のDGT.解散後、田根はAtelier Tsuyoshi Tane Architectsをパリに設立。活動の場をさらに広げている。
今回、初台の東京オペラシティ アートギャラリーで開催される「未来の記憶 Digging & Building」は、場所をめぐる記憶を掘り下げ、飛躍させる手法によって生み出された《エストニア国立博物館》《古墳スタジアム》などの代表作から最新プロジェクトまでを、大型の模型や映像によって体感的に展示するもの。場所にまつわる記憶を様々な角度から分析することで新たな系譜をつくり、未来につながる建築へと展開させることを狙う。
「記憶は現在を動かし、未来をつくる」という信念にもとづいた田根の創造は、都市生活において建築が持つ力や使命を見る者に認識させ、未来への可能性を再考するきっかけとなるだろう。
なお本展は、東京・乃木坂のTOTOギャラリー・間で行われる「未来の記憶 Search & Research」との同時開催展。いずれも「未来の記憶」をテーマに、田根の創造と探求に迫っていく。