フィリップス・コレクションは今年創立100周年を迎え、アメリカでもっとも優れた私立美術館のひとつとして知られている。裕福な実業家家庭に生まれ、高い見識を持ったダンカン・フィリップスの収集品を核とし、1918年に私邸でコレクションを公開し始めた。21年にはアメリカで最初の近代美術中心の美術館として開館。フィリップスの審美眼によるコレクションは、世界有数の近代美術コレクションとなっている。
「フィリップス・コレクション展 A Modern Vision」と題された本展では、そんなフィリップス・コレクションの所蔵品を紹介する。アングル、コロー、ドラクロワをはじめとする19世紀の巨匠から、クールベ、そして近代絵画の父マネ、印象派のドガ、セザンヌ、モネ、またポスト印象派のゴーギャン、新しい美術を切り開いた後継のボナール、クレー、ピカソ、ブラックらの作品75点を展示。フィリップスが生涯を費やし、芸術作品に対する強い情熱と高い見識で積み上げた稀代の近代美術コレクションが一堂に会する貴重な機会となる。
フィリップス・コレクションの館長ドロシー・コシンスキーは、今回の展覧会を「A Modern Vision」と題した理由について「出品される作品が、表現的で色彩豊かな絵画を好んだフィリップスの信念と感性を反映しているからです」とコメント。
三菱一号館美術館長の高橋明也は「赤レンガの外観、ヒューマンスケールの展示空間など、『共通点の多い美術館として、フィリップス・コレクションそのものの展覧会を開きたい』と互いに話をしていた」と展覧会開催の経緯を語っている。
フィリップス・コレクションと三菱一号館美術館の親密性を感じながら、近代美術の名画を味わいたい。