今日、日本独自の食文化である「おべんとう」が国際的に注目を集めている。日本人の生活に深く根付き、行楽弁当や、誰かとシェアする「共食(きょうしょく)」としてのお弁当は、日本古来から、農耕社会のハレの場などにおいても重要な役割を果たすなど、それぞれの地域の共同体を維持し、そのつながりを深めるソーシャル・ツールとして重要な文化とされてきた。
今回、東京都美術館で開催される「BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン」展は、「おべんとう」から見えてくるコミュニケーション・デザインをテーマに、その魅力を再発見しようとするもの。江戸時代に使われていたユニークなデザインのお弁当箱などの資料から、現代の美術家たちによるインスタレーションや参加型の作品までを楽しめる内容となる。
出品作家は、オランダのイーティング・デザイナー、マライエ・フォーゲルサングのほか、NHK番組「サラメシ」に「お弁当ハンター」として出演中の写真家・阿部了や、発酵デザイナーの小倉ヒラクなど、「食」に対して独特のアプローチを持つアーティストたちが揃う。