ダイ・イン インタビュー:身体から宇宙へ。日本初個展に見る「生成」の思考【4/4ページ】

生成する主体へ

──今後取り組みたいテーマやプロジェクトがあれば教えてください。

ダイ 今後も私は、「生成構造」という軸に沿って制作を深化させていきます。同時に、その構造がどのように変化し、異なる主体のあり方のなかでどのように転化していくのかに、より強い関心を持っています。

 これまでの制作が、循環、孕育、再生といったシステムの構築に重点を置いていたとすれば、今後は、そのシステムがずれや不安定性、さらには断裂を生じたときに、どのような新しい存在の形態が立ち上がるのかを考えていきたいと思っています。つまり、構造の成立そのものではなく、その変容や進化の可能性へと関心が移行しているのです。

 この過程において、女性の経験についても、より開かれたスケールで再考していきたいと考えています。私にとって女性性は固定されたアイデンティティではなく、ひとつの生成の論理です。今後、この論理が依然として性別に結びついたままであるのか、それとも女性と男性の経験が交差するような新たな構成、あるいは性別区分を超えた「新しい主体性」へと展開していくのか、強い関心を持っています。

 同時に、より根本的な問いについても考え続けています。とりわけ人工知能をはじめとする技術が、人間の認知のあり方や存在の構造を変容させていくなかで、人間の主体性はどこに根拠を持ちうるのかという問題です。もしイメージ、言語、さらには思考までもが再現可能であるとすれば、身体的経験や知覚の様式、そして精神的な生成能力こそが、新たな中心となりうるのではないかと考えています。

 このような条件のもとで、「生成」はもはやたんなる自然過程ではなく、人間のあり方そのものを再定義する契機となる可能性があります。

 したがって、私にとって今後の制作は、形式の延長にとどまるものではなく、変化し続ける世界のなかで、人間が主体的な存在としていかに成立し続けうるのかを問い直す試みでもあるのです。

ダイ・インと《Goddess 19》(2025)

編集部

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