菊池ビエンナーレに見る「陶芸の現在」。大賞受賞者・中根楽が語る「境界」の陶芸【2/2ページ】

国際化と若手の大賞──公募展の現在性

 展覧会全体を見てみよう。会場には、46点の入選作が並ぶ。これがすべて陶芸なのかと驚く多様な作品群だが、一点一点、配置や照明が工夫され、46点の個性が空間に凝集されているのが印象的だ。

 「すべての作品が引き立つ配置と照明を意識しています。この空間での展示も、ほかの公募展にはない菊池ビエンナーレの特徴です」と、菊池寛実記念 智美術館の島崎慶子学芸課長は語る。

 入選作はそれぞれ、作風・形態はもとより、サイズや技法に至るまでバラエティに富む。46点の入選作のうち、約3割、14点が海外からの作品であり、視点の異なる表現に陶芸制作の幅広さを実感できる内容となっている。

「第11回 菊池ビエンナーレ 陶芸の現在」展示風景より。陶芸作品をより魅力的に見せるための空間設計にもこだわりが感じられる 写真提供=菊池寛実記念 智美術館(*)
展示風景より、ダニエル・チャウ《Narrative》(2025) 写真提供=菊池寛実記念 智美術館(*)
展示風景より、レイ・ブラウン《Gourd Vase》(2025)

 「日本人作家の作品発表の場が国際化するいま、国内外の作品を相対化できる場であること、また、若い制作者が抱く現在が反映されていることは、現在性ある公募展の運営に必要なことだと考えています。それでこそ、キャリアを重ねてきた作家たちにとっても挑戦の場になるのだと思います」(島崎)。

「第11回 菊池ビエンナーレ 陶芸の現在」展示風景より

 若手からキャリアのある陶芸家まで、段階の異なる挑戦が交差する。会場を一巡すれば、「陶芸の現在」を理解できると同時に、「陶芸の可能性」をも感じ取れる展示である。

編集部

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