1960年代の高知で何が起きていたのか。「高知の前衛 高﨑元尚と浜口富治」展が高知県立美術館で開催

高知出身の美術家、高﨑元尚と浜口富治の活動をたどり、1960年代の高知で起きた前衛美術運動の実像に迫る展覧会「高知の前衛 高﨑元尚と浜口富治」展が高知県立美術館で開催される。

「理由なくデモして街を歩く」(高知市帯屋町界隈でのパフォーマンス風景) 1961 個人蔵

 1960年代、日本各地で前衛美術の実験が活発化するなか、高知でも独自の動きが生まれていた。高知県立美術館で開催される本展「高知の前衛 高﨑元尚と浜口富治」は、戦後高知の前衛美術運動を牽引した2人の作家、高﨑元尚(1923〜2017)と浜口富治(1921〜2009)の活動を軸に、ローカルな文脈から日本戦後美術史を捉え直す試みだ。会期は2月28日〜3月31日。

 戦後に創作活動を本格化させた両者は、1950年代から高知で頭角を現し、1962年には地元作家とともに前衛美術グループ「前衛土佐派」を結成する。

高知大丸で行われた前衛土佐派展 1962

 1960年代初頭の浜口は、刃物を用いた挑発的な作品を発表する傍ら、架空の展覧会の案内状を郵送する作品など、世界的にも早い時期にコンセプチュアルな制作に取り組んだ。いっぽう高﨑は、63年に代表作《装置》を発表して自らの評価を確立。前衛土佐派にとどまらず、66年には関西の「具体美術協会」に参加している。

 本展の大きな特徴は、同館が長年にわたり進めてきた作家調査の成果として、新たに確認された作品や資料を多数公開する点にある。とりわけ、これまで断片的にしか知られてこなかった浜口の1960年代の活動を、初めて包括的に紹介する試みは注目される。

浜口富治 海の残骸 1961 板、土佐刃物、はがき、銀箔、塗料、釘 高知県立美術館蔵
浜口富治 メカニズムを閉じ込めたよろこび 1963 ミクストメディア(トランク、モーター、メス、金網、メトロノーム、ブリキ缶ほか) 高知県立美術館蔵

 また、正方形が規則的に反復するアイコニックな外観をもつ高﨑の「装置」シリーズについても、その成立から展開までを体系的に検証する。

高﨑元尚 装置66-6 1966 高知県立美術館蔵

 さらに、この機会に遺族宅から発見された「前衛土佐派」の展覧会風景写真やチラシ、ステイトメントといった貴重な資料群を一挙公開。1960年代の高知に形成されていた複層的なアートシーンを立体的に浮かび上がらせる。ローカルな実践がいかにして「前衛」となり得たのか。本展は、単線的な美術史観を揺さぶる重要な視座を提示するだろう。

 なお会期中には、担当学芸員によるギャラリートークのほか、アーティスト・原田裕規を招いた対談企画など関連イベントも予定されている。