アートフェアという形式を、どこまで組み替えられるか
PAVILIONが試みているのは、アートフェアを商業の場から遠ざけることではない。モールズワース自身が語るように、アートフェアは作品を購入し、収集する場所だ。その前提を維持しながら、参加にかかるコスト、作品を見るための時間、展示空間のつくり方、資材の使い方をひとつずつ見直していく。その積み重ねとしてPAVILIONという形式は成り立っている。

モールズワースの言葉を通して繰り返し表れるのは、作品を「どう売るか」だけでなく、「どのように出会い、どのように持ち続けるか」という問いだった。30秒の説明で売買を決めるのではなく、作品について話し、考える時間をつくること。作品を所有することを、単なる取引ではなく、自分たちが何者であるかを示す物語を次の世代へ運ぶ行為として捉えること。その考えは、PAVILIONが掲げるフェアの形式と、彼が語る収集観の両方に通じている。
そして、その問いはアジアのアート市場についての議論にも接続する。市場が地域ごとに異なる方向へ動きつつあるとモールズワースが見るなかで、どの作品を選び、どの物語を自分たちのものとして引き受けるのか。その形成には時間がかかる。PAVILIONが重視する「時間」という考えは、作品を見る行為から、市場や物語が形成されていく過程まで、インタビュー全体を通じて繰り返し現れていた。



















