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INSIGHT - 2020.1.2

ジャッドからリヒター、ウォーホルまで。2020年に海外で注目すべき展覧会ベスト5

2020年に海外の美術館で予定されている展覧会のなかから、注目のベスト5を会期順に紹介。ドナルド・ジャッドやゲルハルト・リヒター、アンディ・ウォーホルなど、現代美術史に巨大な影響を与えたアーティストたちの大規模回顧展をピックアップしてお届けする。

 

アンディ・ウォーホル Marilyn Diptych 1962 (C) 2019 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc / Artists Right Society (ARS), New York and DACS, London

「Donald Judd」
(ニューヨーク近代美術館、3月1日〜7月11日)

ドナルド・ジャッド Untitled 1991 © 2019 Judd Foundation/Artists Rights Society (ARS), New York. Photo by John Wronn

 彫刻の歴史に画期的な変化をもたらしたドナルド・ジャッド(1928〜94)の大回顧展「Donald Judd」が、2020年3月1日からニューヨーク近代美術館で行われる。本展は、ジャッドにとって過去30年間でアメリカ初の回顧展となる。

 ドナルド・ジャッドは1928年アメリカ・ミズーリ州生まれ。59〜65年までは評論家として様々な美術雑誌に執筆。60年代には、自ら作品を制作し始め、抽象表現主義の突破口を切り抜けようとして二次元から三次元へ、いわゆる「現実の空間」に目を向けて模索し始めた。

 本展では、世界各地のコレクションから、彫刻や絵画、ドローイングなど60点以上の作品を集め、ジャッドの全貌を明らかにする。60年代初期の絵画や手づくりのオブジェから、金属やプラスチックなど工業的な材料を使って制作された中空の箱をはじめとする彫刻、そして生涯最後の10年間に制作された色彩に関する作品などが展示される。

 

「Gerhard Richter: Painting After All」
(メット・ブロイヤー、3月4日〜7月5日)

メトロポリタン美術館の公式サイトより

 「ドイツ最高峰の画家」と呼ばれているゲルハルト・リヒター。その回顧展「Gerhard Richter: Painting After All」が、2020年3月4日からニューヨークのメトロポリタン美術館の分館であるメット・ブロイヤーで開催される。

 リヒターは1932年ドイツ・ドレスデン(旧東ドイツ)生まれ。芸術大学在学中、西ドイツを旅行して抽象表現主義に強い影響を受けた。これまで、精密に模写した写真のイメージを微妙にぼかす「フォト・ペインティング」や、グレイのみを用いた「グレイ・ペインティング」などのシリーズを発表してきた。

 本展では、絵画やガラス彫刻、版画、写真など100点以上の作品を展示することで、リヒターの制作生涯を振り返る。戦後の前衛芸術の実践や、抽象的・比喩的な作品、そしてマルチメディアを用いた作品を通し、リヒターの60年にわたる自然主義と抽象化、写実主義と写真との関係の探求を検証する。

 また、アメリカで初公開のシリーズ「Birkenau」(2014)や「Cage」(2016)、世界初公開のガラス作品《Gray Mirrors(4 Parts)》(2018)と《House of Cards(5 Panes)》(2020)も登場する。

 

「Andy Warhol」
(テート・モダン、3月12日〜9月6日)

アンディ・ウォーホル Self Portrait 1986 © 2019 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc / Artists Right Society (ARS), New York and DACS, London

 アメリカの美術史においてもっともアイコニックなアーティストのひとり、アンディ・ウォーホル(1928〜87)。その大回顧展「Andy Warhol」が、2020年3月12日よりロンドンのテート・モダンで開催される。

 アンディ・ウォーホルは1928年アメリカ・ペンシルベニア州生まれ。本名はアンドリュー・ウォーホラ。ウォーホルは、宗教的な移民家庭で育った。生涯の大半をともに過ごした母親であるジュリア・ウォーホラの強い宗教的信念は、後に自身がゲイであることを自覚したウォーホルの活動に大きな影響を与えた。

 本展は、同館で約20年ぶりに開催されるウォーホルの個展であり、100点以上の作品が展示。マリリン・モンローやコカ・コーラの瓶、キャンベルのスープ缶をモチーフにした象徴的な絵画だけでなく、黒人とラテン系のドラッグクイーンやトランスウーマンの肖像画である「Ladies and Gentlemen」シリーズなど、イギリスで初公開の作品も多数紹介される。

 ウォーホルの作品における欲望やアイデンティティ、信念など繰り返し登場するテーマを強調することで、そのポップアート運動の旗手が20世紀のアートや文化をいかにかたちづくったかを検証する。

 

「Christo et Jeanne Claude: Paris!」
(ポンピドゥー・センター、3月18日〜6月15日)

「l’Arc de Triomphe, Wrapped(Project for Paris, Place de l’Étoile-Charles de Gaulle)」のフォトモンタージュ Photo by André Grossmann © 2019 Christo

 2020年4月にパリのエトワール凱旋門を包むプロジェクト「l’Arc de Triomphe, Wrapped(Project for Paris, Place de l’Étoile-Charles de Gaulle)」の計画を発表したクリスト。春に巣をつくるチョウゲンボウを保護するため、本プロジェクトは20年9月19日〜10月4日に延期された。

 このプロジェクトのプレリュードとして、2020年3月18日〜6月15日にパリのポンピドゥー・センターでクリストとその妻のジャンヌ=クロード(1935〜2009)の回顧展「Christo et Jeanne Claude: Paris!」が開催される。

 1935年ブルガリア生まれのクリストは、58年にジャンヌ=クロードとパリに出会い、61年より、公共の場でアート作品の制作を開始。当時、凱旋門の近くの部屋を借りていたクリストは、凱旋門のフォトモンタージュを含む、建造物を梱包するプロジェクトの研究を行っていた。

 本展では、ふたりが1958〜64年のあいだにパリで行った活動や、75年から計画し、85年にパリのセーヌ川に架かる橋「ポンヌフ」で実現した「The Pont-Neuf Wrapped, 1975-1985」プロジェクトなどを紹介する。

 

「Marina Abramović After Life」
(ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ、9月26日〜12月8日)

マリーナ・アブラモヴィッチ Artist Portrait with a Candle (C) 2013 Courtesy of the Marina Abramović Archives © Marina Abramović

 パフォーマンスの先駆者として世界的に高い評価を得ているマリーナ・アブラモヴィッチ。そのイギリス初の大規模個展「Marina Abramović After Life」が、2020年9月26日からロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで開催される。

 1946年ユーゴスラビア生まれのアブラモヴィッチは、自身の身体的・精神的持久力の限界に挑戦し、パフォーマンスを通して暴力と身体との関係性を示すことで知られている。本展では、アブラモヴィッチの50年にわたるキャリアを回顧するとともに、本展のために制作された新作も紹介。新作では、来年74歳を迎えるアーティストの身体の変化を反映し、生と死に関する認識を探るという。

 また本展では、「パフォーマンスアートがその瞬間を超えて長生きできるのか?」という問いも提示される。それを検証するため、写真、ヴィデオ、インスタレーションの展示や、若手パフォーマーによるアブラモヴィッチのパフォーマンスの再現などが行われるという。会期中には、アブラモヴィッチによるトークイベントも開催。