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フランシス・ベーコンからナム・ジュン・パイクまで。この冬、海外で見るべき展覧会(ヨーロッパ編)

年末年始は海外の美術館を訪れるチャンス。この冬、海外で開催されている展覧会のなかから、編集部が注目する展覧会を地域ごとにピックアップしてお届けする。

 

Francis Bacon, Triptych inspired by T.S Eliot’s poem, Sweeney Agoniste, 1967. Hirshhorn Museum and Sculpture Garden-Smithsonian Institution, Washington

Francis Bacon: Books and Painting(ポンピドゥー・センター、パリ)

Francis Bacon, Triptych inspired by T.S Eliot’s poem, Sweeney Agoniste, 1967. Hirshhorn Museum and Sculpture Garden-Smithsonian Institution, Washington

 マルセル・デュシャン、ルネ・マグリット、アンドレ・ドラン、ヘンリ・マティスと、20世紀後半の主要な作家の展覧会を行ってきたパリのポンピドゥー・センター。同館では20年ぶりとなるフランシス・ベーコンの回顧展「Francis Bacon: Books and Painting」が開催されている。

 本展は、ベーコン作品における文学の影響がテーマ。パリのグラン・パレで回顧展が行われた1971年から、彼が亡くなる1992年までの約20年間の作品約60点が展示される。会場では、ベーコンが影響を受けたバタイユやコンラッド、ニーチェの作品の一部が音声で流される。

会期:2019年9月11日〜2020年1月20日
会場:ポンピドゥー・センター Galerie2
住所:75191 Paris, cedex 04
電話番号:+33 1 44 78 12 33
開館時間:11:00〜21:00(火〜23:00)
料金:一般 15ユーロ(要予約)

 

Charlotte Perriand: Inventing A New World (フォンダシオン ルイ・ヴィトン、パリ)

Charlotte Perriand, Reception Room, 1955


 フランス出身のデザイナーであり建築家、シャルロット・ペリアンの没後20周年を記念する回顧展「Charlotte Perriand: Inventing A New World」がパリのフォンダシオン ルイ・ヴィトンで開催されている。ペリアンは19世紀から20世紀への過渡期に現代デザインを牽引。日本やベトナムのアジアの国々に関心があったことでも知られ、自由な女性として活動した。

 本展ではモダニティを具現化しながら、女性の役割や自然との関係性を問うペリアンの建築作品を中心に紹介。彼女がデザインした家具のほか、交流のあったコルビュジエやフェルナン・レジェらの絵画作品も展示されている。

会期:2019年10月2日〜2020年2月24日
会場:フォンダシオン ルイ・ヴィトン
住所:75116 Paris, 8, Avenue du Mahatma Gandhi, Bois de Boulogne 
電話番号:+33 1 40 69 96 00
開館時間:10:00〜20:00
休館日:日
料金:一般 16ユーロ

 

Chagall, Picasso, Mondrian and others: Migrant Artists in Paris(アムステルダム市立美術館、アムステルダム)

Marc Chagall, L'autoportrait aux sept doigts, 1912-1913. Collection Cultural Heritage Agency of the Netherlands. Long-term loan Stedelijk Museum Amsterdam.

 アムステルダム市立美術館では、シャガール、ピカソ、モンドリアンといった20世紀前半にパリで活動したアーティストの作品を展示する「Chagall, Picasso, Mondrian and others: Migrant Artists in Paris」が開催中。同館が保有するシャガールのコレクションはここ70年間で初公開される。他にも写真家やグラフィックデザイナーなど、50人以上の作家の作品を展示する。

 20世紀初頭芸術の中心であったパリを拠点を移した彼らは、高まるナショナリズムの波のなかでの活動を強いられた。不当な状況下でも新たな芸術の高みを目指した「外国人」アーティストたち。本展は巨匠の再評価のみならず、新たな作家を発見する機会になるかもしれない。

会期:2019年9月21日〜2020年2月2日
会場:アムステルダム市立美術館
住所:Museumplein, 10, 1071
開館時間:10:00〜18:00(金〜22:00)
料金:一般 18.5ユーロ

 

Soto. The Fourth Dimension (ビルバオ・グッゲンハイム美術館、ビルバオ)

Jesús Rafael SotoPenetrable blanco y amarillo, (White and Yellow Penetrable), 1968.
Private collection

 ヘスス・ラファエル・ソト(1923〜2005)はベネズエラ出身の作家で、錯覚性を伴う幾何学的な作品を制作。初期は色彩理論などを学びキネティック・アートのグループで活動、のちにZeroやSignals Gallery周辺の国際的なグループにも所属した。

 そんなソトの回顧展「Soto. The Fourth Dimension」がビルバオ・グッゲンハイム美術館で開催されている。1967年から晩年まで50年以上のキャリアを通じて制作された、プラスチックと金属フィラメントを用いた代表的なシリーズ《Penetrables》をはじめとしたインスタレーションや、絵画、彫刻から、芸術の範囲と役割の再定義を行った彼の生涯を振り返る。

会期:2019年10月18日〜2020年2月9日
会場:ビルバオ・グッゲンハイム美術館
住所:Avenida Abandoibarra, 248009
電話番号:+34 944 35 90 00
開館時間:10:00〜20:00
休館日:月(12月23日、30日を除く)
料金:一般 13ユーロ

 

NAM JUNE PAIK(テート・モダン、ロンドン)

Internet Dream 1994. Install view, Tate Modern 2019. ZKM Centre for Art and Media, Karlsruh

 ナム・ジュン・パイクは韓国出身で、東京大学で学び、オノ・ヨーコや坂本龍一とも交流があったアーティスト。革新的で遊び心のある作品によって、今日のアートと文化に大きな影響を与え、TVやヴィデオといったメディアを使用した新しい美術の開拓者としても知られている。

 テート・モダンでは、そんなパイクの50年間の活動のなかから、200点におよぶ作品を展示する「NAM JUNE PAIK」が開催中。会場では、第45回ヴェナチア・ビエンナーレで金獅子を受賞したインスタレーション《Sistine Chapel》(1993)を約25年ぶりに初再現。親しい間柄であったチェリスト、シャーロット・モーマンとのコラボレーション作品のほか、ジョン・ケージやヨーゼフ・ボイス、マース・カニンガムなどジャンルに富んだ作家たちとの交流にも焦点を当てる。

会期:2019年10月17日〜2020年2月9日
会場:テート・モダン The Eyal Ofer Galleries
住所:Bankside, London SE1 9TG
電話番号:+44 (0)20 7887 8888
開館時間:日〜木10:00〜18:00、金〜土10:00〜22:00
休館日:12月24日〜26日
入場料:一般 13ポンド

 

Tim Walker: Wonderful Things(ヴィクトリア&アルバート博物館、ロンドン)

「Tim Walker: Wonderful Things」展示風景より

 ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)では、イギリス出身のフォトグラファー、ティム・ウォーカーの展覧会「Tim Walker: Wonderful Things」が開催されている。ウォーカーは大掛かりなセットを使った幻想的な作風で知られ、ブリティッシュ・ファッション・アワードをはじめとする数々の著名なコンテストでも賞を受賞してきた。

 本展では、写真や映画、撮影のためのセット、インスタレーションまで、様々なアイテムからウォーカーの制作プロセスを体感できる。V&Aを世界でもっとも刺激的な空間と表現するウォーカー。会場では、そんな彼がV&Aのコレクションから影響を受け、新しく創作された写真作品シリーズも展示されている。なお同館では、2020年2月16日までイギリスのファッション・デザイナー マリー・クアントの展覧会「Mary Quant」展も開催中。

会期:2019年9月21日〜2020年3月8日
会場:ヴィクトリア&アルバート美術館
住所:Cromwell Road London SW7 2RL
電話番号:+44 (0)20 7942 2000
開館時間:10:00〜17:45(金 10:00〜22:00)
休館日:12月24日〜26日
料金:一般 15ポンド

 

Gauguin Portraits(ナショナル・ギャラリー、ロンドン)

Paul Gauguin, Vahine no te vi (Woman with a Mango), 1892
The Baltimore Museum of Art

 ロンドンのナショナル・ギャラリーでは、ポスト印象派を代表するポール・ゴーギャン(1848〜1903)のポートレイトにスポットを当てた展覧会「Gauguin Portraits」が開催されている。

 パリから遠く離れた南国の自然と共生した社会やそこに根付く民話や精神に魅了され、その影響を色濃く受けた作品で知られるゴーギャン。初期からタヒチで過ごした晩年までの作品を通じ、彼がどのようにポートレイトに革命を起こしたのかを探る本展。50点以上のペインティングからドローイング、立体作品までを展示する。また、世界中から同じモデルを題材に描いた複数のポートレイトを集め、時間の経過とともにどのように解釈が変化していったのかも知る機会となる。

会期:2019年10月7日〜2020年1月26日
会場:ナショナル・ギャラリー
住所:Trafalgar Square, LondonWC2N 5DN
電話番号:+44 (0)20 7747 2885
開館時間:10:00〜18:00(金10:00〜21:00)
休館日:1月1日、12月24日〜26日
料金:一般 22ポンド(土日は24ポンド)

 

Original Bauhaus(ベルリン・ギャラリー、ベルリン)

Woman wearing a theatrical mask by Oskar Schlemmer and seated on Marcel Breuer’s tubular-steel chair, c.1926.
Bauhaus-Archiv Berlin

 バウハウスは1919年、ドイツ・ワイマールに創立された総合芸術学校。芸術と産業の融合や大衆文化の課題の解決を掲げ、ヴァシリー・カンディンスキーやパウル・クレーなど時代を代表する芸術家たちが指導にあたったが、1933年にナチスによって廃校を余儀なくされる。わずか14年間のバウハウスの活動は、いまなお世界に影響を与え続けている。

 そんなバウハウスの創立100周年を記念して、ベルリニッシュ・ギャラリーでは「Original Bauhaus」展が開催中。本展は「どうやってワシリー・チェアに座った正体不明の女性はバウハウスのもっとも有名なイメージになったのか?」といった、バウハウスの歴史を紐解く14のキーワードから構成。オブジェクトの背後にある歴史を新しく語り直す。

会期:2019年9月6日〜2020年1月27日
会場:ベルリン・ギャラリー
住所:Alte Jakobstraße 124 – 12810696 Berlin
電話番号:+49 (0)30-789 02-600
開館時間:10:00〜18:00
休館日:火
料金:一般 12ユーロ

 

Fighting for Visibility Women Artists in the Nationalgalerie before 1919(ベルリン国立美術館、ベルリン)

Paula Modersohn-Becker, Mädchen mit Blütenkranz im Haar, um 1901,
Staatliche Museen zu Berlin, Nationalgalerie

 ベルリン国立美術館では、1919年以前に活動した女性の作家に初めて焦点を当てた「Fighting for Visibility Women Artists in the Nationalgalerie before 1919」が行なわれている。

 19世紀初頭、男性優位社会であった美術界においてわずかにキャリアを築いた女性アーティストはいたものの、アカデミーへのアクセスや助成金には厳しい制限があった。そんな女性作家たちを紹介する本展では、ロシア・アヴァンギャルドのパイオニア ナタリア・ゴンチャロワや肖像画家ヴィルマ・パラギーなどの作品も展示されているという。

会期:2019年10月11日〜2020年3月8日
会場:ベルリン国立美術館
住所:Bodestraße10178 Berlin
電話番号:030-266-42-42-42
開館時間:10:00〜18:00(木10:00〜20:00)
休館日:月
料金:10ユーロ

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