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INSIGHT - 2017.5.7

ソール・ライターの写真から学ぶ、生き方

1950年代にカメラマンとして活躍しながら、80年代に突如として姿を消したソール・ライター。2006年、83歳にして再び世間の注目を集めた彼の大回顧展が、Bunkamura ザ・ミュージアムで、2017年6月25日まで開催。

文=山瀬まゆみ
57丁目で撮影するソール・ライター 撮影=マーギット・アーブ

 亡くなった後に有名になる作家はいるが、一度名が売れた後に、カムバックする作家は珍しい。1950年代のニューヨークで売れっ子ファッション・カメラマンとして一躍有名になったソール・ライター。『ハーパーズ・バザー』、『エル』、『ヴォーグ』など、一流ファッション誌のほとんどで写真を撮り下ろしていたが、81年を区切りにこつぜんと業界から姿を消した。

ソール・ライター 足跡 1950

 ライターの名前が消えたこの期間は、彼にとってある意味、本当のターニングポイントといえるかもしれない。というのもカラー写真や、絵画、そして何より彼の毎日の過ごし方といった、その後ライターが彼らしくなるための要素すべてが、この時期に構築されているからだ。その頃に撮られているライターの写真の多くは、誰かが洗濯物を干していたり、ウィンドウショッピングをしていたりといった、日常の風景。それは、「写真は、しばしば重要な出来事を取り上げるものだと思われているが、実際には、終わることのない世界の中に、ある小さな断片と思い出をつくり出すもの」という彼の言葉をそのまま表現した、ライターらしいものだった。94年、フィルムメーカー・イルフォード社が援助したことで実現したカラー写真展は話題を呼んだが、再び静かな制作の日々が続く。そして、2006年。世界でいちばん美しい本をつくると言われている、ドイツの出版社シュタイデル社から出版された『Early Color』で再評価され、本当のカムバックを果たした。しかし、有名になった後もライターの生活は何も変わらなかった。カメラを持って散歩、コーヒーを買って、帰宅したら愛猫レモンの世話。世間になびかず、また、有名になることと関係なく、自分の“美”をマイペースに追い続けたソール・ライター。彼の人生が詰まった、日本初の回顧展は、観にいく自分自身をあらためて見直せる、そんな展示になっているはずだ。

(『美術手帖』2017年5月号「INFORMATION」より)

information

ニューヨークが生んだ伝説
写真家 ソール・ライター展

会期:2017年4月29日〜6月25日
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00~18:00 (金・土は〜21:00、入館は各閉館の30分前まで)
休館日:5月9日、6月6日
料金:一般 1400円/大高生 1000円/中小生 700円
 

event

飯沢耕太郎×平松洋子

日時:2017年6月1日 18:30〜20:30(予定)
場所:Bunkamura ザ・ミュージアム展示室内
定員:60名
参加料:無料 ※要本展チケット
申し込み方法:事前申し込み(先着順)
※決定次第、本展HPでお知らせ

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