ソール・ライター(1923-2013)は1950〜80年代のニューヨークで、ファッション誌などを中心に商業カメラマンとして活躍した。その後数十年にわたって世間から姿を消していたものの、2006年にシュタイデル社から出版された作品集をきっかけに、カラー写真の先駆者として再び脚光を浴びることとなった。
独特の色彩感覚と視点で日常の一場面を切り取るその作品は、ロバート・フランクら同時代の写真家たちに比べ、内省的な魅力を持つと評された。また、幼少期からライフワークとして絵画を制作。キャリアの初期には抽象表現主義の画家たちとも交流、ピエール・ボナールやヴュイヤールを敬愛したという。
本展では、200点以上の写真作品(モノクロ、カラー)、絵画作品、その他貴重な資料を一堂に集め紹介し、その生涯をたどる。いまだ未発表作品も多い「伝説の写真家」に迫る、国内初の大回顧展となる。会期中には、ドラマチックなその生涯を追ったドキュメンタリー映画『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』(2012年、日本公開は2015年)の上映も(日程はBunkamuraホームページに掲載予定)。