EXHIBITIONS

Documents -名古屋前衛芸術の記録-

2020.04.04 - 05.02

Installation view STANDINGPINE

Installation view Special Thanks Taro Hanaga STANDING PINE

 日本の戦後における前衛の作品は今日まで残されていないケースが少なくなく、また戦後前衛芸術の記録の多くは失われているとも言われている。

 愛知・名古屋市にあるギャラリーSTANDING PINEは、資料展「Documents -名古屋前衛芸術の記録-」を開催。本展は、「ゼロ次元と反芸術パフォーマンス」「水上旬 THE PLAYとニルヴァーナ」「名古屋ゆかりの作家と戦後前衛芸術」の3部で構成し、戦後前衛芸術に関連する作家やグループの活動をひも解く上で重要な記録写真や、当時発行された雑誌や機関紙などの貴重な資料を紹介する。

「ゼロ次元と反芸術パフォーマンス」では、1960年代に岩田信市らによって結成され、後に名古屋や東京の街頭各所で集団パフォーマンスを実践した「ゼロ次元」の資料を展示。写真家の羽永光利が撮影したゼロ次元の代表的なパフォーマンス「全裸防毒面歩行儀式」(1967)の記録写真をはじめ、ゼロ次元の活動にも多く参加した秋山祐徳太子のポスターなど、当時「儀式」と呼ばれたパフォーマンスやゼロ次元と関わりの深い作家、展覧会やイベントの記録を公開する。

「水上旬 THE PLAYとニルヴァーナ」では、水上旬、池水慶一ら関西各地のパフォーマーを中心としたグループ「THE PLAY」に注目。プレイのハプニング『SHEEP 羊飼い』(1971)の詳細が記されたポスターや、松澤宥とともに企画した国際的なコンセプチュアル・アートの展覧会「ニルヴァーナ 最終美術のために」などの活動を振り返る。

 そして「名古屋ゆかりの作家と戦後前衛芸術」では、50〜80年代に活躍した名古屋にゆかりのある作家を中心に、戦後前衛芸術において重要なイベントや展覧会の記録を幅広く紹介。赤瀬川原平荒川修作、岸本清子を中心とする「ネオ・ダダ」の記録写真(1960)や、後に多くの作家に影響を与えたジョン・ケージとデイヴィッド・テュードアのイベントにオノ・ヨーコが参加した際の記録写真(1962)、赤瀬川ら「ハイレッド・センター」の代表的な芸術行為「特報!通信衛星は何者に使われているか!」のチラシ(1964)、さらに、ネオ・ダダの吉村益信が発足させ、名古屋支部は岩田と水上が担当していた組織「アーティストユニオン」の機関紙(1975〜76)なども展示する。
謝辞 : 羽永太朗


※STANDING PINEは愛知県の緊急事態宣言発令に伴い、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため当面のあいだ休廊。今後のスケジュールは公式ウェブサイトにて案内。